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学生・生徒のソーシャルメディア利用状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ キャンパス内でスマートフォンでソーシャルメディア。どこでも見られる状況。(ペイレスイメージズ/アフロ)

学生・生徒のLINE利用率は9割近く、Twitterは6割強

10代から20代の若年層ではソーシャルメディアの利用率が高いことはよく知られている。一方で昨今では学生などにおける、いわゆる「炎上」がソーシャルメディアで増加しているのも事実。そこで今回は総務省が2018年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、学生や生徒におけるソーシャルメディアの利用状況について確認する。

まず最初に示すのは、コミュニケーション系のソーシャルメディアについて、各サービスの利用をどの種類の端末から行っているかに関する回答値。

↑ ソーシャルメディアの利用状況(コミュニケーション系、複数回答、学生・生徒、利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(コミュニケーション系、複数回答、学生・生徒、利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(コミュニケーション系、複数回答、学生・生徒、端末種類問わず、利用スタイル別)(2017年)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(コミュニケーション系、複数回答、学生・生徒、端末種類問わず、利用スタイル別)(2017年)

学生などに限ればLINEが9割近い利用率でトップ、次いでTwitterが7割強、FacebookとGoogle+は2割台。mixiは6.0%でしかない。

端末種類別利用率だが、パソコンは高い値でもLINEとTwitterの1割強でしかなく、FacebookやGoogle+は1割足らず。携帯電話(多分にスマートフォン)経由の利用が圧倒的に多い。また利用スタイルもサービスにより大きく異なり、LINEは読み書きがほぼ同率で携帯電話経由が圧倒的、Twitterはやや閲覧の人の方が多い。意外なのはFacebookで、パソコン経由の利用者は少なめ。

また全般的に携帯電話経由の閲覧利用者が多いのも特徴の一つ。スマートフォンがあれば大よそのサービスにはアクセス可能である、むしろそちらに主軸を置いているサービスも多々あることから、わざわざパソコンを使うまでも無く、またパソコンに(プライベートで)触れる機会が無い人も多数いるのだから、当然だろう。ましてや学生・生徒となれば、自分自身のパソコンを持っている人は大人と比べればごく少数になる。家族全体の保有、あるいは保護者のを借り受ける形で利用しているパソコンで、個人的内容のやりとりが多いソーシャルメディアの利用は、気が引けてしまうに違いない。

動画や画像の共有サービスは?

続いて動画や画像の共有サービス、具体的にはYouTube、ニコニコ動画、Snapchat、Instagramを同じく学生・生徒に限り、その動向を確認していく。

↑ ソーシャルメディアの利用状況(動画・写真系、複数回答、学生・生徒、利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(動画・写真系、複数回答、学生・生徒、利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(動画・写真系、複数回答、学生・生徒、端末種類問わず、利用スタイル別)(2017年)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(動画・写真系、複数回答、学生・生徒、端末種類問わず、利用スタイル別)(2017年)

YouTubeは9割強、Instagramは4割強、ニコニコ動画は3割台、そしてSnapchatは9.0%が利用している。端末などの利用状況を見ると、いずれのサービスでも携帯電話経由の閲覧利用率が高く、パソコン経由はそれ以下の値を示している。特にYouTubeでは8割近くが携帯電話経由で閲覧していると答えている。これだけ大勢の利用者がいれば、いわゆるユーチューバーが学生諸氏に受け入れられるのも理解はできる。

投稿動向はといえば、YouTubeでは携帯電話経由の方が4倍も多いが、ニコニコ動画は意外にも(!?)パソコン経由が携帯電話経由に肉薄している。Instagramはそのサービスの特性上、携帯電話経由による投稿率が非常に高く、1/4割強の人が投稿している。

大学生ともなれば自らのアルバイト代から本体代や通信料をねん出する場合が多々あるが、高校生まではおおよそ保護者から本体代・通信料を出してもらうことになるため、中学生の時点では家庭での負担をかんがみ、スマートフォンを利用できない・させてもらえない場合が多い。今後もスマートフォンの普及は進み、各種調査結果でも高校生は9割を超えている一方で、中学生でも少しずつ普及率は上昇しているが、高校生のような高い値となることは無いだろう。

学生における各種ソーシャルメディアや動画共有サイトの動向の視点で見ると、今後も各サービスに対する魅力が変わらなければ、利用可能端末の利用率が上昇する以上、携帯電話経由での利用は漸増する。しかしそのスピードはこれまでと比べれば緩やかなものとなるに違いない。

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※平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2017年11月11日から17日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケートと日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。グラフ・本文中の表記の「10代」は、厳密には13歳~19歳を意味する。

今件の値は各サービスの利用をどの種類の端末から行っているかに関する回答値。回答時点で該当サービスを閲覧しているか、書込みや投稿をしているか、そして利用する際の端末はパソコン(ノートパソコン、デスクトップトップ双方)か、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォン双方)かについて尋ねている。単純な利用状況は「いずれからも利用していない」を元に逆算したもの。

今回の対象となる年齢は特に記載されていないが、質問票の職業区分で「学生・生徒」とあり、調査対象母集団が13歳以上なので、中学生から高校・大学(院)、さらには短大や専門学校生も含めた学生や生徒であるとする(中高生は「生徒」で、大学生などは「学生」である)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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