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女性会社員のこづかい、昼食事情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ランチタイムはちょっとおしゃれなお店で、というパターンも。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・女性会社員のこづかい平均額は3万4854円。男性平均額と比べて5000円近く低い値(2018年)。

・女性会社員も男性会社員同様に、昼食には持参弁当の割合がもっとも高い。

・弁当持参時を除く勤務日の昼食代は男性570円、女性586円。

男性以上に女性会社員のお財布の中身や昼食の実情は、自分自身の周辺以外のこととなると把握しにくい。全体像としてはどのようなものなのか、新生銀行が長期定点観測をしている調査「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版となる2018年版の結果から確認する。

まずは一か月あたりのこづかい平均額。平均額は3万4854円。男性平均額と比べて5000円近く低い値となっている。

↑ 1か月あたりのこづかい平均額(会社員、男女別、円)(2018年)
↑ 1か月あたりのこづかい平均額(会社員、男女別、円)(2018年)

同一の年齢階層ならば女性就業者の方が平均賃金が低い実態は知られている。各種統計・調査結果でもそれを裏付ける結果が出ている。例えば次のグラフは厚生労働省の賃金構造基本統計調査の結果を基にしたもの。

↑ 雇用形態・男女別平均賃金(2017年、千円)(賃金構造基本統計調査より筆者作成)
↑ 雇用形態・男女別平均賃金(2017年、千円)(賃金構造基本統計調査より筆者作成)

賃金に応じたこづかいを設定しているのか、あるいは自分のこづかいをセーブして世帯に収めている・貯蓄に回す傾向が強いのだろう。また女性は特に若年層と、中年層以降における正社員比率に差異があり、若年層ほど正社員率は高く、収入も大きいのが影響していると考えられる。

続いて昼食時の様式傾向。回答調査対象母集団において、就業時の昼食ではどのようなスタイルをとっているか。弁当持参時を除く、昼食代の平均額も確認する。

↑ 会社員の昼食の内訳(男女別)(2018年)
↑ 会社員の昼食の内訳(男女別)(2018年)
↑ 勤務日の平均昼食代(弁当持参時を除く、男女別、円)(2018年)
↑ 勤務日の平均昼食代(弁当持参時を除く、男女別、円)(2018年)

女性においても男性同様、持参弁当率がもっとも高い。そして順位も男女ともに持参弁当、購入弁当、社員食堂、外食の順。購入弁当の需要が高いのはスーパーやコンビニの多様化に伴い、中食文化が浸透しているものと考えられる。

女性の持参弁当率は男性と比べて極めて高く、半数を超えた51.7%。全女性会社員の全昼食内容をカウントした場合、その5割強が持参弁当になる次第(男性同様、これは「女性社員の5割近くが、毎日お弁当を持参している」ことを意味しない。全昼食回数の5割強が持参弁当である)。

独身の場合、必然的に持参弁当は自分自身が作ることになる(親などと同居している場合は、その人に作ってもらえる可能性もあるが)。その際、お弁当として耐えうるものを作れるか否かを考えれば、男性よりも女性の方が、持参弁当率が高くなるのも納得は行く。また男性より女性の気づかいが強いことが容易に想像できる健康管理の観点(特にダイエット方面)でも、購入弁当や外食よりも、持参弁当の方が都合はよい。女性の持参弁当率がここまで高いのも理解はできる。

やや意外なのは、女性の「購入弁当」の値がさほど男性と変わり無いこと。昨今のコンビニなどで展開されている、低カロリー志向、あるいは女性にターゲットを絞った商品が、ある程度受け入れられている結果の可能性はある。女性の年齢階層別内訳を「サラリーマンのお小遣い調査」の報告書から確認すると、購入弁当の年齢階層別差異はほとんど無く(全年齢階層で20%前後)、幅広い年齢階層から支持を集めていることになる。

金額面では年齢階層によって差があるものの、30代をのぞけば男性より女性の方が高い。とはいえ、その額面は大したものでは無い。統計上のぶれの範囲と見てよいだろう。男女ともに昼食代に大きな変わりは無いと解釈した方がよさそうだ。

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※サラリーマンのお小遣い調査

直近年分となる2018年分は2018年4月12日から16日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2713人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性791人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.0対60.0、女性は59.9対40.1。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけでは無いことに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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