通勤の友の昔と今とをさぐる

↑ 通勤の友、新聞。最近ではあまり見かけなくなったが…。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・通勤者のうち通勤時にスマートフォンやパソコンなどを使っている人は男性6.7%、女性3.7%(2016年)。

・通勤時の利用対象に関して、男女ともに2011年から2016年にかけて「コンピューターの使用」が大きく伸びている。

・2006年から2016年にかけて男性では「読書」「新聞・雑誌」、男女ともに「CD・音声ファイル」の行動者率がわずかずつだが増加している。

自宅と職場との行き来を通勤と呼ぶが、その移動手段としてはバスや鉄道のような公共交通機関が多い。この際の同時行動の10年間の移り変わりを、総務省統計局の社会生活基本調査(※)の結果から確認する。

まず最初に示すのは通勤時に同時行動(いわゆる「ながら行動」)として何をしているかについて、代表的な行動内容をいくつか挙げ、その行動者率を確認したもの。通勤をしている人に対する割合となる。またバスや鉄道のような公共交通機関の利用以外に、徒歩や自転車、バイクや自動車などによる通勤のスタイルもあることに留意をしておく必要がある(例えば自動車通勤ならばスマートフォンの操作や新聞・雑誌の閲読はほぼ不可能)。なお「コンピューターの使用」とはパソコンだけで無くスマートフォンや従来型携帯電話、タブレット型端末などを用いたインターネットの使用も含まれている。

↑ 通勤時の同時行動者率(2016年、15歳以上全体、平日)
↑ 通勤時の同時行動者率(2016年、15歳以上全体、平日)

「コンピューターの使用」がもっとも多く、男性では6.7%、女性は3.7%。似たような行動の「電子メールなどによる交際・付き合い」も合せればそれぞれ6.9%、4.1%となる。「新聞・雑誌」は男性0.8%、女性0.1%。想像以上に少ないかもしれないが、これは前述の通り鉄道やバスに限らず、全通勤者を対象としたものであるのが原因(鉄道やバスの通勤者に限ったデータは無い)。

また男性と比べて女性の値が低めなのは、女性の就業形態としては自宅近所の職場でのパートやアルバイトが多く、公共交通機関を使って通勤する人の割合が低いからだと考えられる。

ともあれ現状では通勤の友的な存在は、新聞や雑誌、書籍よりもコンピューター、恐らくはその大部分はスマートフォンであろうことが改めて確認できる。

続いて経年推移を確認するが、社会生活基本調査では同時行動の調査は2006年以降の実施で、「コンピューターの使用」の選択肢は2011年以降に登場、さらに「CD・音声ファイル」は2006年時点では「CD・カセットテープ」となっている。連続性の上でやや問題があるが、この際目をつむることにする。なお空白の属性は回答者がいないこと(設問そのものが無い場合も含む)を意味する。

↑ 通勤時の同時行動者率(男性、平日、15歳以上)
↑ 通勤時の同時行動者率(男性、平日、15歳以上)
↑ 通勤時の同時行動者率(女性、平日、15歳以上)
↑ 通勤時の同時行動者率(女性、平日、15歳以上)

男女ともに2011年から2016年にかけて「コンピューターの使用」が大きく伸びたことが分かる。5年の間に通勤者の間で大きなポジションを獲得した形だ。

一方で意外にも、男性では「読書」「新聞・雑誌」、男女ともに「CD・音声ファイル」の行動者率もわずかずつだが増加しているのが確認できる。女性は逆に「読書」で減り、「新聞・雑誌」は誤差範囲内での動きに留まっているなど、興味深い動きも見受けられる。

ともあれ、男女を問わずに通勤の友が、2011年から2016年の間に、一気に交代したことには違いない。

年齢階層別でもデータを取得することは可能だが、誤差が大きく、傾向のようなものは確認できなかったので、今回は省略する。ただ「コンピューターの使用」では興味深い動きがあったので、これは確認しておく。なお「コンピューターの使用」は2006年時点では設問自身が無かったため、全属性で回答者無しとなっている。

↑ 通勤時の同時行動者率(男性、平日、15歳以上、年齢階層別、「コンピューターの使用」)
↑ 通勤時の同時行動者率(男性、平日、15歳以上、年齢階層別、「コンピューターの使用」)
↑ 通勤時の同時行動者率(女性、平日、15歳以上、年齢階層別、「コンピューターの使用」)
↑ 通勤時の同時行動者率(女性、平日、15歳以上、年齢階層別、「コンピューターの使用」)

男女とも2011年時点では中年層の方が行動者率は高かった。ところが直近の2016年では若年層の方が高い値を計上している。デジタル機器では特に見られる傾向だが、まず先進技術に強い関心を抱き金銭的にも余裕がある中年層が手に取り利用し、普及するに連れて若年層が市場のリーダーシップを取るようになる。その動きが通勤時の利用という観点で、きれいに表れている次第である。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。