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「この仕事向いてないんじゃない?」がトップ…新社会人が言われたらへこんでしまう言葉とは!?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 叱る側からは役立つ助言、指摘のつもりでも新社会人にとっては…ということも。(写真:アフロ)

・新社会人が先輩社会人に言われたらやる気が奪われるセリフのトップは「この仕事向いてないんじゃない?」。31.0%が同意(2018年)。

・「ゆとり世代だなぁ」「私が若いころは●●だったのに」「やる気ある?」が、やる気が奪われるセリフとして続く。

・男女別では大よそ女性の方が上位陣の選択肢への回答率は高い。女性の方が先輩社会人からの言葉に傷つきやすい、理不尽さを覚える機会が多いようだ。

新社会人と呼ばれる人達は社会の扉を叩いたばかりで不慣れな事が多く、色々と指摘や苦言、お小言を受ける機会が生じる。その際に深く傷ついてしまう、やる気がそがれる言い回しにはどのようなものがあるのだろうか。ソニー生命保険が2018年4月に発表した、新社会人に対する意識調査の結果「社会人1年目と2年目の意識調査2018」(※)から確認する。

企業などに就職すれば、大抵において先輩・上司とともに就業時間を過ごすことになる。学生時代にそれなりの訓練、事前学習をしていたとしても、社会人として勤めてからはじめて知ったこと、慣れないことも多く、作業に手間取り、ミスをしてしまうことも少なくない。また教わった事柄を一度で完全に習得・体得できるはずも無く、同じ間違いを繰り返すかもしれない。

しかしそのような場面において、先輩達からキツイお小言を受けることも当然ある。それらお小言的な言い回しの中でも、理不尽な内容、または理解はしていても「そんな言い方は無いだろう」とばかりに、モチベーションを削られる、やる気を奪われてしまう、ある意味「魔法の呪文」的な言い回しは多数存在する。そのような言葉を列挙し、「自分ならばこんな言葉をかけられたら、やる気が奪われてしまう」と思うものを3つまで挙げてもらった結果が次のグラフ。ほぼ同じ条件で2015年と2017年も調査が実施されているため、その結果を併記している(順位は2018年の回答値順。空欄の部分はその年では回答値が公開されていない)。

↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣)
↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣)

最上位、つまりもっとも多くの人が「これを先輩社会人から言われたらへこむ」と同意を示したのは「この仕事向いてないんじゃない?」。31.0%と3割強の値を示している。仕事の成果がうまく出せない、作業でもたつく、さらにはミスをしてしまった時に、このような言葉をかけられると、追い打ちをかけられた気分になり、やる気を失ってしまうというもの。たとえ声をかけた先輩側が深い考えを持っていない、さらには「奮闘すべく発破をかけた」と自覚し意図的にやったのだとしても、その通りに新社会人が認識することは多くない。仕事に関しては絶対的権威と経験を持つ人からの言葉であるからこそ、なおさら心の痛手は大きい。

自分個人にでは無く、属する世代全体にレッテルを貼る形で酷評する「ゆとり世代だなぁ」「私が若いころは●●だったのに」「学生気分が抜けてないんじゃない?」のようなセリフも、モチベーションを下げやすい。自分自身の具体的な問題点の指摘ならまだしも、所属属性全体で云々と酷評されてしまっては、反論のしようも無いからだ。さらには「自分を個人としてでは無く、世代・属性全体の一部としてしかとらえてない」と、個人の否定としてすら認識してしまうかもしれない。

価値観の相違を先輩側の絶対真理として押し付けるような、いわば理不尽な指導的言い回し「そんなことは常識でしょ」「やる気ある?」も新社会人のやる気を削ぎやすい。多分に新社会人側の人格そのもの、少なくとも仕事面における本人そのものを否定するような、自らの誠意や努力そのものを無下にするニュアンスにとらえてしまう。

2018年分で初めて上位入りした「言っている意味分かってる?」「前にも言ったと思うんだけど?」「ちゃんと考えたの?」は、たとえ本当に指摘された通りの状況だったとしても、反復学習・経験の中でノウハウや知識を習得する立場にある新社会人にとっては、理不尽な指摘には違いない。

直近年分につき、男女別に見たのが次のグラフ。多くの項目で女性の方が高い値を示している。

↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣)(2018年、男女別)
↑ 先輩社会人に言われたら、やる気が奪われてしまうセリフは(複数回答で3つまで、上位陣)(2018年、男女別)

回答数は3つまでだが下位層の動向が不明なため、女性の方が単に気にしているセリフが多いのか、それとも上位陣に集中しているのかは分からないが、女性の方が先輩社会人からの言葉に傷つきやすい、理不尽さを覚える機会が多いようではある。

「私が若いころは●●だったのに」「言い訳はするな!」は男性の方が高い値。そもそも論として、女性は男性と比べてこれらの言い回しを使われる機会が少ないのかもしれない。

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※社会人1年目と2年目の意識調査2018

2018年3月16日から3月23日にかけて、「今春就職する社会人1年生」「就職してから1年経過した社会人2年生」(いずれも20代)に対して携帯電話経由のインターネット調査形式で行われたもので、有効回答数はそれぞれ500人。男女比はそれぞれ1対1。調査協力会社はネットエイジア。過去の調査もほぼ同様の条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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