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動画やコミュニケーション…小学生から高校生におけるパソコンとスマートフォンでのインターネットの使い方

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 得手不得手はあれどスマートフォンもツールの一つ。何をするかは利用者次第。(ペイレスイメージズ/アフロ)

・小学生から高校生ではデスクトップパソコンやノートパソコンを使い、主に情報検索や動画視聴、ゲームなどをしている(2017年)。

・従来型携帯電話ではコミュニケーションがメイン。

・スマートフォンではコミュニケーションをはじめ、ゲームや動画・音楽視聴、情報検索など多様な使い方をしている。

スマートフォンもパソコンも道具の一つでしか無く、それで何をするか、何ができるのかが要には違いない。それぞれで子供達は何をしているのか、その実情を内閣府が2018年3月に確定報を発表した「青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の報告書を基に確認する。

次に示すのは小学生から高校生を対象に、デスクトップパソコン、ノートパソコン、従来型携帯電話、スマートフォンそれぞれでインターネットを利用している人における、その端末による利用内容を示したもの。普段からその目的で利用していると認識した項目に答えてもらっている。「コミュニケーション」とは電子メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアなど、他人との意思疎通ができるサービス全般を指す。

↑ インターネットで何をしているか(該当機種でインターネット利用者限定、小~高校生、2017年)
↑ インターネットで何をしているか(該当機種でインターネット利用者限定、小~高校生、2017年)

パソコンではデスクトップとノートのような形状による違いはあまり生じておらず、従来型携帯電話・スマートフォンとは大きく使われ方が異なる状況が確認できる。また従来型携帯電話とスマートフォンでは差異が大きな項目がほとんどで、機種の性能による利用目的の違いが明確化している(ほぼ同数なのはコミュニケーションぐらい)。

パソコンでは情報検索や動画視聴がメイン、ゲームなどが高い値。コミュニケーションやニュース(の取得)などはあまり行われていない。一方で従来型携帯電話はコミュニケーションが多く利用されているが、他項目は押し並べて低め。機能そのものがスマートフォンと比べて低く限定されており、現在のサービスがほとんど対応していないことから、子供達の間では電子メールなどのコミュニケーションに限ったツールとして使われている実情が分かる。あるいはそれこそが、端末を提供する保護者側の思惑なのかもしれない。

他方スマートフォンはコミュニケーションをはじめ、ゲームや動画・音楽視聴、情報検索など利用方法は多様。ニュースの取得や地図・ナビゲーションの活用面でも大いに利用されている。さらに電子書籍も15.5%と高めな値(パソコン以上)が出ているのは注目に値する。

これを全体比で算出したのが次のグラフ。上記が「その端末でインターネットを利用する人における利用実情」であるのに対し、これは全体に占める割合。それぞれその端末でインターネットを利用する人の割合から逆算しており、例えばスマートフォンではコミュニケーションの項目は42.0%とあるので、小学生から高校生全体の4割強は、スマートフォンでコミュニケーションをしている形となる。子供達の実態を全体的に見る時に役立つ値といえる。

↑ インターネットで何をしているか(小~高校生全体比、2017年)
↑ インターネットで何をしているか(小~高校生全体比、2017年)

コミュニケーション以外でも3割強がゲームや動画・音楽視聴、情報検索をスマートフォンで行っている。「小学生から高校生の3割から4割ほどは、スマートフォンを使って情報のやり取りをしたり検索したり、動画や音楽を楽しんだり、さらにはゲームをしている」との現状は、数年前には到底想像も出来なかったに違いない。さらに約2割がスマートフォンで地図・ナビゲーションを活用したり、ニュースを取得している。ノートパソコンによる利用状況も動画視聴や情報検索などでそれなりの値が出ているが、スマートフォンの利用状況の前にはかすんでしまう。

パソコンとスマートフォンで利用傾向が大きく異なるのは、画面の大きさや操作性、機動力の違いによる得手不得手から生じるもの。見方を変えればスマートフォンでメインとなるような機能でインターネットの利用は十分だと考えているからこそ、今の子供達はパソコンの必要性を感じない、距離を置いているのかもしれない。

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※青少年のインターネット利用環境実態調査

直近年度分は2017年11月3日から12月3日にかけて2017年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3288人(うちウェブ経由は122人)、保護者は3469人(うちウェブ経由は44人、郵送回収法は26人)。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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