Yahoo!ニュース

一か月に週刊誌や雑誌、書籍はどれほど買われているのだろうか、世帯単位での実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ コンビニでお馴染みの週刊誌や雑誌。紙媒体の世帯での購入実情は(筆者撮影)。

・2017年12月の一か月で二人以上世帯における新聞購入世帯率は62.6%。6割強の世帯が新聞を購読中。

・雑誌や週刊誌の購入世帯率は19.9%。5世帯のうち4世帯ほどは一か月に1冊も雑誌や週刊誌を買っていない。

・二人以上世帯で週刊誌を定期購入している人が1人いれば、その人に連動する形で9人近く(8.84人)が「1か月間雑誌や週刊誌は何も買わない」状態。

週刊誌や雑誌、書籍のような紙媒体はどれほど買われているのか。総務省統計局による家計調査の報告書の最新版(2017年12月分、月次、記事執筆時点)を基に、二人以上世帯における実情を確認する。

次に示すのは二人以上世帯(一般的には夫婦世帯)における、紙媒体の世帯単位での購入実情(※)。購入世帯頻度以外に購入世帯率、支出金額、そして新聞以外では一人あたりの平均支出金額も算出する。

↑ 2017年12月における二人以上世帯の平均支出金額(円)、購入世帯率、購入世帯頻度
↑ 2017年12月における二人以上世帯の平均支出金額(円)、購入世帯率、購入世帯頻度
↑ 2017年12月における二人以上世帯の「一人あたり」平均支出金額(円)
↑ 2017年12月における二人以上世帯の「一人あたり」平均支出金額(円)

・世帯単位で購入するパターンで一人も新聞を読んでいない(二人以上の)世帯は1/3以上に達している。

・雑誌や週刊誌を一人も購入しない世帯は約4/5。購入する人がいる世帯は、月2回近く買い求めている(35.0%÷19.9%≒1.75回)。

・一人あたりの週刊誌や雑誌購入金額は109円73銭。通常の週刊誌の価格は200円後半から300円なので(例えば週刊少年マガジンは税込270円)、平均して月に1冊も買われていない計算になる。4か月でも1冊強(2冊には及ばない)。世帯レベルで計算しても、ようやく1冊/月程度。

新聞は月ベースで契約して配達してもらう以外に、駅売りなどで時々購入しているパターンもある。その場合、家計には把握・算出されない場合が多い(サラリーマンの場合は自分のこづかいで買うため、家計としての計上は難しい。「世帯主こづかい(使途不明)」の一部に収められているものと考えられる)。そのため「新聞購入」のみを確認する今件データと比べ、実情はもう少し上乗せされることになる。

今データを見る限り、とりわけ雑誌の購入額・頻度の少なさには、あらためて驚かされる。仮に週刊誌を1誌、毎週購入したとすれば、1か月で1100円程度(上記の週刊少年マガジンを購入したとして、270円×4週=1080円)。二人以上世帯の構成員に限定されるが、週刊誌を定期購入している人が1人いれば、その人に連動する形で9人近く(8.84人)の「1か月間雑誌や週刊誌は何も買わない人」が存在して、ようやく平均値に達する計算になる。

↑ 仮に一人が週刊誌を毎週1冊ずつ買っていれば、他の8.84人は一冊も買っていない計算(筆者作成・撮影)
↑ 仮に一人が週刊誌を毎週1冊ずつ買っていれば、他の8.84人は一冊も買っていない計算(筆者作成・撮影)

もちろんこれは二人以上世帯のみの話で、趣味への購入意欲が高く、それを実現しやすい単身世帯では、もう少し上乗せした値になる。とはいえ、世帯全体において多数を占める二人以上世帯の実情としては、目をそらしたくなる現実でもある。

ここまで雑誌や週刊誌への出費が少ない理由としては、インターネットやモバイル端末の普及による、情報取得元の多様化が挙げられる。移動中における「時間つぶし」のツールが多数用意され、週刊誌や雑誌を選ぶ必要性が薄れたのが大きな要因。通勤時間帯の電車を見回して、どれだけ週刊誌を読んでいる人がいるか、一方でモバイル端末の類を操作している人がいるか、確かめて見れば、その現状がよくわかるだろう。

■関連記事:

本屋の場所、大きさ別・雑誌やコミックの売上全体に占める割合をグラフ化してみる

食品、雑誌、たばこ…コンビニから無くなったら困るものとは?

※用語解説

「購入世帯率」は純粋に購入者が一人でもいた世帯の割合。1世帯内で複数の人が購入していても、購入世帯としては1件としてカウントする。「購入世帯頻度」は世帯単位での月あたりの購入頻度。例えば特定の世帯において12月中に誰かが2回雑誌を購入すれば、その世帯の購入世帯頻度は200%になる。非購入世帯も含めての計算であることに注意。また今回の検証は2017年12月分であるため、その一か月分のみでの値。

(注)本文中のグラフや図表、写真は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成、あるいは撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事