電通推定の日本の広告費を詳しくさぐる(経年推移)

↑ 街中のあらゆる場所で見受けられる広告。その費用はいかなる変化を?(筆者撮影)

・今世紀に入ってからの日本の広告費の動向は2007年の7兆円強をピークに景気後退とともに減少。2012年以降は少しずつ復調しているがピーク時の水準には達していない。

・「インターネット広告」は額面、総広告費に対するシェアともに増加傾向。4マスのうち「新聞」「雑誌」「ラジオ」は漸減中。

・2017年では総広告費の23.6%が「インターネット広告」。

電通は2018年2月に日本の広告費に関する調査報告書「2017年 日本の広告費」を発表した。その内容を基に今世紀における広告費の実情を確認する。

「2017年 日本の広告費」をはじめ電通の年次報告書「日本の広告費」からは2001年以前の値も取得が可能だが、「インターネット広告」の項目は2001年に入ってから用意されたため、今回は2001年以降の動向を確認する。

また2004年と2005年の間では、広告費の項目区分で変更が行われており、その前後では数字上の連続性は厳密には無い。グラフ上では点線を引いたが、その線をまたいだ年同士の比較には注意を要する。

まずは単純な金額積み上げグラフ。金融危機発生時で、まだ大きな影響が広告費には表れていなかった2007年が天井となり、その後は景気の後退、リーマンショック、さらには震災などを受け、下落や低迷状態にあったことが分かる。2012年以降は少しずつ復調しつつあるが、その歩みは遅い。

↑ 媒体別広告費(積み上げ推移、2001~2017年)(2004~2005年で推定範囲変更のため厳密な連続性は無し)(億円)
↑ 媒体別広告費(積み上げ推移、2001~2017年)(2004~2005年で推定範囲変更のため厳密な連続性は無し)(億円)

「プロモーションメディア広告費」が2004年から2005年の間に大きく上昇している。しかしこれは区分の変更で色々と「追加」(他区分からの移動では無い)が行われているのが原因。この時期に今項目が飛躍・成長し、全体額も1兆円ほど躍進したわけでは無い。

中期的には「新聞」や「雑誌」など、紙媒体が大きく落ち込んでいる。代替メディアの普及に伴い購入者数の減少、購入者の購入数量の減少、さらには質の低下などの要因から、広告媒体としての実力、少なくとも広告出稿主から見た評価が減っているのが大きな要因。

従来型の4マスとインターネットにおける、広告費から見た影響力の変化が確認できるのが、次のシェア動向。それぞれの年における各媒体の広告費を、全広告費の比率で示したもの。

↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001~2017年)(2004~2005年で推定範囲変更のため厳密な連続性は無し)
↑ 媒体別広告費(構成比推移、2001~2017年)(2004~2005年で推定範囲変更のため厳密な連続性は無し)

4大マスを黒枠で装飾し、動向が分かりやすいようにした。2004~2005年に項目基準の変更が行われたが、それをきっかけとするかのように黒枠項目が少しずつ減少していくのが分かる。またその中でも詳しく見ると、「テレビメディア」は一定のシェアを維持し続けており、「新聞」「雑誌」「ラジオ」が4マスのシェア低下の原因であることも確認できる。そしてこの数年は「テレビメディア」ですらもシェアが減退し、その分までを合わせ「インターネット広告」が侵食したような、さらに「プロモーションメディア広告」までも侵食し、食い広げるような様子が見て取れる。

2004年~2005年をきっかけとしていることから、区分変更が問題ではとの発想も頭に浮かぶ。しかしこのタイミングはインターネットの普及が本格化した時期でもあり、また同時にそのネットを媒体とする「インターネット広告」が上昇していることから、区分変更には関係が無いことがうかがい知れる。実のところ2005年の区分変更において4マスが影響を受けているのは「雑誌」のみで、しかも対象誌の増加がなされているため、数字的にはむしろ有利になるはずである。

絶対額、シェアともに減少著しい紙媒体では、電子媒体へのコンテンツの移行が進むに連れ、出版社などが払う広告費は同じでも「雑誌広告が減る」「インターネット広告が増える」動きが生じることになる。「雑誌」部門の広告費の減少が、そのままコンテンツベースとしての雑誌全体(紙と電子双方)の減少を意味するものとは限らないことに留意しなければならない。

またスマートフォンやタブレット型端末の急速な普及に伴い、それら単独の広告だけで無く、その機動力・柔軟性を活かした、複合型広告の展開も大いに見込める。うまくその勢いの波に乗ることができれば、低調さを見せている分野でも盛り返しが期待できよう。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。