年齢層別の交通事故死者数の実情をさぐる
・交通事故死者数の全体数は年々減少中。
・高齢者の交通事故死者数も大よそ減ってはいるが、減少率がゆるやかなため、全交通事故死者数に対する比率は増加中。
・2017年における全死者のうち65歳以上の比率は54.7%。
警察庁は2018年2月に2017年中の交通事故の状況を精査した報告書「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」を公開した。これを基に年齢階層別の交通事故による死者数の実情を確認する。
まずは積み上げ式と個々の年齢階層の値の動きを折れ線グラフにした、年齢階層別事故死者数の推移。これは「事故発生から24時間以内に死亡した人」に限定している。また、直近年に関しては実数値のグラフも生成した。
全体数が減少の傾向を見せている一方で、紫系統の色の階層にあたる高齢者(65歳以上)の部分が他の年齢階層と比べると縮み方が緩やか(=人数があまり減っていない)ように見える。高齢者人口そのものが増加しているのに加え、高齢者の対人口比交通事故死者数が高い値を示しているのが、高齢者の減少率が緩やか、さらには増加している原因。
そこで今度はこれらの動向について、各年毎の交通事故死者数全体に占める割合でグラフにしたのが次の図。一つが棒グラフで、各年ごとに占める割合が分かりやすいように。もう一つは折れ線グラフで、各年齢層毎の割合の変化を見易くしたもの。後者のグラフでは全階層を掲載すると見難くなるため、高齢層と壮齢層に限定して表記している。
ここ数年の傾向として、死者「数」は(最初のグラフにある通り)各年齢層で減少しているが、高齢層では減り方がおだやか、時として増加の動きすら見せるため、全体に対する比率では逆に増えてしまっている。壮齢層では横ばい、60代も増加から減少に転じる動きを示しているが、70代以降、特に80歳以上では増加傾向。
2017年における全死者のうち65歳以上の比率は54.7%。これまでの公開データの中では2016年の54.8%に次ぐ高い値である。
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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。