情報源として欠かせない存在は新聞よりインターネット…主要メディアに対する思いの実情をさぐる
・「情報源として欠かせない存在である」メディアとしてはインターネットがトップで47.1%、新聞が44.7%。
・「信頼できる情報を提供する」メディアは新聞とNHKテレビが6割近くで上位。
・インターネットは情報源としては欠かせない存在だが、情報の信頼性は低いと認識されている。
情報源として欠かせない存在、トップはインターネット
メディアは主に情報を取得するために存在し、利用される。情報はメディアの立場からは、商店における商品そのものと表現できる。その情報を日々得る人にとってメディアは欠かせない存在であり、同時に情報の内容に関し、メディアは利用者からさまざまな要求がなされる。今回は新聞通信調査会が2018年1月に発表した「メディアに関する世論調査」(※)を基に、主要メディアとなる新聞、テレビ、インターネットに関し、人々が情報源としてどの程度の必要性を感じているのか、そして提供される情報に信頼を寄せているのかを確認する。
主要メディアに対し「情報源として欠かせない存在か否か」「情報が信頼できるか否か」を尋ね、肯定した人をカウントした結果が次以降のグラフ。まずは「情報源として欠かせない存在である」とするメディアとしては、インターネットがもっとも同意を得られており、47.1%。次いで新聞が44.7%、NHKテレビが41.8%。最後に民放テレビが38.7%との結果となった。
新聞やテレビと比べインターネットはインフラとしての意味合いが強く、情報発信メディアとしてのくくりで同列視するのは問題があるが、世間一般の人のイメージとしての回答では、大よそこのぐらいなら妥当性がある値。民放テレビは「情報源としての価値」の観点で、今回取り上げている主要メディアにおいては、一番低い支持率としての存在になってしまっている。
男女別では、男性は新聞やインターネットが、女性は民放テレビの値がやや高めに出ている。女性の観点では情報源として必要不可欠か否かの観点で、NHKテレビと民放テレビはほぼ同程度と認識されていることになる。昼時のバラエティ番組の視聴が影響しているのだろう。
年齢階層別に見ると、50代まではインターネットが一番で、次いで民放テレビ。40代まではインターネットが突き抜けた値を示している。60代になると新聞が一気に順位を上げてトップにつき、NHKテレビが第2位に。インターネットは民放テレビよりも低いポジションに落ちてしまう。70歳以上ではそれぞれの立ち位置がより確かなものとなる。
今件で挙げられたメディアでは、50代と60代が「情報源としての価値」における境界線となるようだ。シニア層が新聞やNHKテレビに夢中になるのは、情報源として欠かせない存在との認識が強いのが、理由の一つであることが分かる。
信頼できる情報を提供する存在は新聞とNHKテレビ
情報源としての必要性では無く、発信される情報の確からしさ、信頼性の点では、新聞とNHKテレビに置かれた信頼性の高さが際立つ。
1つ目のグラフと、メディア毎の棒グラフの色を一致させているが、印象が大きく異なっている。青と赤が大きく伸び、緑と紫が非常に短い。また大よその属性で赤の方が青よりも長い。これはそれぞれ「新聞とNHKテレビが提供情報の観点では大いに信頼されている」「民放テレビとインターネットはあまり情報の信頼性は無いとの認識がされている」「新聞とNHKテレビとではNHKテレビの方がより高い信頼を得ている」と見ることができる。
男女別では大きな差は見られない。一方年齢階層別では大よそ若年層ほどインターネットへ信頼を置いているものの、それほど高いものでは無く、新聞とNHKテレビは大よそ年を重ねるにつれて信頼する人の割合も増加していく。他方民放テレビは年齢階層による差異はあまり見られず、一定値を保っているのも興味深い動向ではある(あえていえばやや中堅層が低い程度)。
今件の2つの視点だけでも、年齢階層間のメディアギャップ、そしてシニア層における新聞とNHKテレビ信奉、特に新聞への信服ぶりが手に取るように分かる。何しろシニア層では約6割が「情報源として欠かせない」「情報が信頼できる」と回答しているのだから。
今後デジタルに慣れ親しんだ世代が歳を重ねるにつれ、これらの傾向にどのような変化が生じて来るのか。大いに注目したいところではある。
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※メディアに関する世論調査
直近分となる第10回は2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもので、有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同じ条件で行われている。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。