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年賀葉書の発行枚数などをさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 気持ちを込めて手書きの年賀状。(写真:アフロ)

・2018年用年賀葉書の総発行枚数は29億6526万6000枚。

・年賀葉書の総発行枚数は9年連続で前年比割れ。

・年賀葉書一人あたり平均枚数は23.5枚。

初年は1949年の約1.8億枚、ピークは2003年の約44.6億枚

日本郵便は2018年1月14日、2018年用年賀葉書などの当せん番号とともに、総発行枚数を発表した。その値などを基に、日本郵便(かつては郵政公社)が発行している、年賀郵便用の年賀葉書(はがき)の発行部数の実情を確認する。

日本の郵便行政における年賀葉書の発行は戦後、1949年発行・1950年用のものが初めて(年賀郵便用の年賀切手は戦前から発行されていた)。その当時の発行部数は1億8000万枚。以後日本の経済復興、人口の増加に伴い枚数を漸増させながら、1964年には10億枚、1973年には20億枚を超える。その動向をまとめたのが次のグラフ。直近の動きを分かりやすくするため、今世紀に限ったグラフも併記した。

2018年用の年賀葉書に関しては、2018年1月14日付で発表された【2018(平成30)年用年賀葉書及び寄附金付お年玉付年賀切手当せん番号の決定】にある通り、29億6526万6000枚となる。ちなみに2017年用の総発行枚数は31億4207万7000枚だった。

↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)
↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)
↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)(2001年以降)
↑ 年賀葉書発行枚数(万枚)(2001年以降)

ピークは2003年の44億5936万枚。それ以降は多少の起伏を見せながらも漸次枚数は減少。直近9年間は連続で前年比マイナスを記録しており、2017年発行・2018年用は、前年比でマイナス5.6%を示している。前年比でプラスを示した最後の年である2008年は、年賀状印刷に愛用された個人向けの小型印刷機シリーズ「プリントゴッコ」のメーカー販売が終了した年であり、年賀葉書の今後の動向を象徴する出来事の一つであったかのように思えてくる。

人口あたり枚数を算出

「人口は漸減状態にあるのだから、年賀葉書の需要が減るのも当然では」との意見もある。そこで各年の人口を総務省統計局の人口推計から抽出し、その人数で年賀葉書発行部数を割った値、つまり「日本人全員が年賀葉書を購入した場合、一人あたり何枚になるのか」を算出したのが次のグラフ。

↑ 年賀葉書一人あたり平均枚数
↑ 年賀葉書一人あたり平均枚数

もう少し起伏に富んだグラフを期待していたのだが、実際には年賀葉書の発行部数推移とほとんど変わらない形のものが形成されてしまった。これは人口推移そのものが短期間では急激な変化を示しているわけでは無いことに起因する。そしてピーク時も発行枚数と同じく2003年。平均枚数は約35枚。直近2017年発行・2018年用分は約23.5枚となる。

この「人口」には年賀状を出せない乳児など、そして年賀状を出さない人も含まれている。年賀状を出す人に限れば、一人あたりの平均購入枚数はもう少し上乗せされるはずである。ただし企業などでまとめて出す場合も多々あるため、一般個人としての平均値は、やはり上記算出値程度になるのかもしれない。

インターネットの普及率が今後も上昇を続け、デジタルネイティブ世代が次々と成人化するに連れ、年賀葉書の需要は今後も減少し、発行枚数も減らさざるを得ない事態が続くものと考えられる。時代の成り行きとはいえ、寂しさを覚える人もいるだろう。

一方、昨今ではインターネット経由で直接住所や名前を知らない、ネット上の知り合いにも紙の年賀葉書を出せるサービスが複数提供されている。切り口次第では、年賀葉書の需要の底上げになるかもしれない。

なお2018年用年賀葉書における当せん番号・賞品は次の通り。

●1等(下6けた)…784640

 セレクトギフト(12万円相当/1万点以上の商品・旅行・体験プラン等からの選択)または現金10万円

●2等(下4けた)…3260

 ふるさと小包など(39点の中から1点)

●3等(下2けた)…27、86

 お年玉切手シート

賞品の引換は郵便局で行う。引換期間は2018年1月15日から同年7月17日まで。1等・2等の当せんの場合、賞品引換の際には運転免許証、健康保険証などの本人確認ができる証明書の持参が必要なので注意を要することを付け加えておく。

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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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