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日本人の米中露韓への親近感、現状ではどのような状況なのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 日本人が諸外国に持つ親近感、その内情は……(写真:アフロ)

・米国では親近感の属性別変化はさほど無し。大よそ高齢層の方が強い親しみを持つ人が多い。

・中露は全体的に低い。18歳~20代の値はやや高めで年を経るごとに低くなる。

・韓国は男女別では際立って女性の方が強い親近感を抱いている。

日本と深い関わりのある国々に、日本人自身はどの程度の親近感を有しているのか。内閣府の外交に関する世論調査(※)をもとに、性別や年齢階層別の現状を確認する。

今調査の該当項目では諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「分からない」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の5選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらうことで、該当国への親近感を推し量っている。

そこでそのうち「親しみを感じる(強)」「どちらかというと親しみを感じる(弱)」の動向を、主要国として今回抽出した米国、中国、ロシア、韓国について、性別と年齢階層別に計上しグラフ化したのが次の図。「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」は設問した意図に該当しないまでの話で、単に「親しみの対象にはならない」との意志表示でしか無く、「無関心(「分からない」ではない)」「嫌い」の双方が該当しうるため、比較の意味合いは薄いことから、今回は検証から除外している。

4か国のグラフにおいて縦軸の仕切り分けはすべて統一してあるため、個々の国に対し有している親近感の度合いが容易に比較できるようになっている。

↑ 米国に親近感を持つ人(2017年)
↑ 米国に親近感を持つ人(2017年)
↑ 中国に親近感を持つ人(2017年)
↑ 中国に親近感を持つ人(2017年)
↑ ロシアに親近感を持つ人(2017年)
↑ ロシアに親近感を持つ人(2017年)
↑ 韓国に親近感を持つ人(2017年)
↑ 韓国に親近感を持つ人(2017年)

米国に親近感を持つ人は属性でさほど違いは無いが、女性よりは男性、若年層よりは高齢層の方が強い親しみを覚えているのが確認できる。ただし18歳~20代は例外的で、強い親しみでは40代以上もの高い値を示している。強弱合わせた親近感の合計値が一番低い属性は70歳以上。

全体値で最低値を示したロシアでは、18歳~20代が突出して高く、親近感は強弱合わせて3割近く。それ以外は1割台で中堅層が2割に手が届きそうなぐらいだが、強い親しみの値は少なめ。中国もロシア同様に18歳-20代の値が高く、31.5%。強い親近感も7.0%と、各年齢階層では最大値を示している。男女別ではほとんど違いは無し。

韓国では男女別では女性、年齢階層別では18歳-20代を筆頭に若年層の親近感が高い。若年層が高めに出るのは他国でも見受けられるが、強度の親近感が18歳から20代において突出する形で高い値を示しているのは、数年前までブームだった「韓流」「K-POP」などの影響が、まだこれらの層に残っていることがうかがえる。

強弱を問わずに親近感を覚える層を合算し、それぞれの国の属性別動向をまとめたのが次のグラフ。

↑ 対象国に親しみを持つ人の割合(2017年)
↑ 対象国に親しみを持つ人の割合(2017年)

米国の安定した高さ、中国とロシアは実のところ僅差状態にあるが、30代の親近感が差をつけていること、韓国の特異性(女性の親近感の突出した高さ)などが改めて確認できる。あくまでも総合的な評価として親近感を覚えるか否かだが、日本の対外施策や社会的事案の検証の際に、指標の一つとなる動向には違いない。

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※外交に関する世論調査

直近分は2017年10月26日から11月5日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、調査員による個別面接聴取法によって行われたもので、有効回答数は1803人。男女比は839対964、年齢階層別構成比は10代39人・20代129人・30代200人・40代308人・50代249人・60代402人・70代以上476人。過去も類似の方法で実施されている。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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