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男性772.4万人、女性188.0万人…パチンコの利用実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 業界側も新顧客の開拓を進めているが、現状は(写真:ロイター/アフロ)

パチンコ人口は960.4万人

大人の娯楽として認知度の高いパチンコだが、昨今では周辺環境に与える影響やギャンブル性の高さなどを受け、厳しい立場にあるのも否めない。現状ではどのような人たちがパチンコを利用しているのだろうか。総務省統計局による社会生活基本調査(※)の公開値から確認する。

次に示すのは直近となる2016年時点において、過去1年間に1日でもパチンコを利用したことがある人(行動者)の人数と、各属性人口に対する比率。例えば男性総数では14.0%とあるので、10歳以上の男性のうち14.0%が過去1年間に1日以上パチンコを利用したと回答している。

↑ パチンコの男女・年齢階層別行動者数(2016年)(万人)
↑ パチンコの男女・年齢階層別行動者数(2016年)(万人)
↑ パチンコの男女・年齢階層別行動者率(2016年)
↑ パチンコの男女・年齢階層別行動者率(2016年)

パチンコ人口は960.4万人。男性が772.4万人で女性は188.0万人。年齢階層別では男性は40代前半がもっとも多く、次いで40代後半、60代後半と続く。40代前半が突出しているが、それ以外は大よそ30代から60代まで大きな違いは無い。他方女性は最大人数を示しているのは意外にも60代後半の23.5万人で、次いで40代前半、40代後半と続く。現役世代で一定数がパチンコをしている状況は男性と変わりないが人数そのものが少ないこと、ピークの年齢階層が引退世代なのが、男性とは異なる点。

行動者率でも傾向はさほど変わりない。しかし男女共にピークが若年層(男性は30代前半、女性は20代後半)となっており、パチンコ人口の傾向とは違いを見せる。これは各年齢階層の人口そのものが大きく異なっているのが原因。

家族構成で傾向に違いはあるのか

続いてライフステージ別の動向を確認する。具体的には学生か、独身か結婚しているか、そして結婚していた場合には子供が居るか居ないか別の、パチンコの利用動向を見るもの。男女で大きな違いがあるため、男女それぞれに仕切り分けして別途行動者率を算出している(比較しやすいように男女間で縦軸は揃えてある)。

↑ パチンコの就業状態・ライフステージ別行動者率(2016年)(男性)
↑ パチンコの就業状態・ライフステージ別行動者率(2016年)(男性)
↑ パチンコの就業状態・ライフステージ別行動者率(2016年)(女性)
↑ パチンコの就業状態・ライフステージ別行動者率(2016年)(女性)

まず男性。ほとんどの場合、有業者の方が無業者よりも行動者率は高い。金銭的な問題か、仕事でのストレス発散の機会としてパチンコを利用しているのだろうか。独身では64歳までは有業者では2割強を維持し、65歳以上でやや落ちる。無業者では65歳以上で落ちるのは変わらないが、それまでは年と共に行動者率が上昇するのは興味深い。

子供が居ない世帯では有業者は35~44歳がピーク、無業者では45~64歳がピーク。他方子供が居る世帯では有業者は大よそ子供が幼いほど行動者率が高い傾向がある。しかし無業者の場合は子供が中学生までは行動者率が落ち、それ以降は上昇する動きを見せている。

女性は男性と比べて有業・無業を問わず行動者率は低い。独身では有業者が45~64歳がピークなのに対し、無業者は35~44歳がピーク。結婚をしている場合、大よそ子供が居ない方が居る方よりも行動者率は低くなる。育児を考えれば当然かもしれない。しかし子供が居る世帯の女性の場合、子供の年や有業・無業の別はあまり関係が無いようだ。

むしろ子供が大きい方が、行動者率は低め。ストレス発散のためか、育児をする必要があったとしても、パチンコをする人はするということなのか。有業者の場合は夫側に育児を任せているケースもあるかもしれない。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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