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男女別、年齢別で夕食開始時刻にはどれほどの違いがあるのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 一家だんらんの夕食。でも統計的には開始時刻に男女差があるとの話。(写真:アフロ)

一日の食事の締めでもあり、一家だんらんの場としても重要な夕食。用意する時間をある程度取れることもあり、料理をする人には腕を振るう場ともなる。その夕食を取り始める時刻は、人によってどのような違いが生じているのだろうか。今回は総務省統計局による社会生活基本調査(※)の公開値から、その実情を確認する。

まず最初に挙げるのは、男女・曜日(平日と土曜、日曜)別、そして年齢階層別の平均夕食開始時刻の実情を記したグラフ。縦軸の時間区切りを統一し、男女の比較もしやすいようにしてある。

↑ 年齢階層、曜日別平均夕食開始時刻(2016年、10歳以上、男性、時:分)
↑ 年齢階層、曜日別平均夕食開始時刻(2016年、10歳以上、男性、時:分)
↑ 年齢階層、曜日別平均夕食開始時刻(2016年、10歳以上、女性、時:分)
↑ 年齢階層、曜日別平均夕食開始時刻(2016年、10歳以上、女性、時:分)

まず男女とも大よそ平日より土曜、土曜より日曜の方が夕食の開始時刻が早い。これは就業者は就業時間に押される形で夕食時刻を遅くせざるを得ないため。土曜出勤者も少なからずいることから、平日よりは早いものの、日曜よりは遅くなってしまう。また年を経るに連れて健康・身体の変化などから就寝時間が早くなるため、自然と夕食開始時刻も早くなる(もちろん定年退職などで就業者率が減るのも一因)。そして女性よりも男性の方が平日と土曜・日曜の差異が大きいのも、男性の方が正社員での就業者が多く、必然的に帰りが遅くなるから。

また遅くなるピークを見ると男性は平日と土日でずれが生じるが、女性は曜日を問わず20代がもっとも遅くなる(平日・土曜は20代前半、日曜は20代後半)。これもまた就業と関係しており、20代が一番正社員率が高いため、帰宅・夕食時間が遅くなる次第。

↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2016年)(女性)(国民生活基礎調査より作成)
↑ 15歳以上就業者の正規・非正規構成比率(役員、自営業者、家族従業者など含まず)(2016年)(女性)(国民生活基礎調査より作成)

結婚してからのパート・アルバイトの場合は正社員と比べて労働時間が短く、夕食開始時刻が後ろにずれ込む可能性が低くなる。

やや余談になるが、男女で平日・年齢階層別の夕食開始時刻を比べると次の通りとなる。

↑ 年齢階層、男女別平均夕食開始時刻(2016年、10歳以上、平日、時:分)
↑ 年齢階層、男女別平均夕食開始時刻(2016年、10歳以上、平日、時:分)

20代から男女で大きく差異が生じるのは、就業しているか否かで夕食開始時刻が異なるため。そして男性の定年退職や女性のパート・アルバイトの必要性の低下(=子供の親離れ)が進むに連れて、男女の差異は縮まっていく。同時に就寝時間が早くなるといった身体的な事情もあり、開始時刻が早まる形となる。

一番の男女差が生じるのは30代後半で50分強(男性19時56分、女性19時04分で52分の差)。男性の働き盛りでもあり、多忙なために帰宅も遅くなる。当然食事もずれ込む結果、差異が開くと考えれば、この動きも納得がいく次第ではある。

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※社会生活基本調査

5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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