米国の人はプライベートをどのように過ごしているのか、時間配分からさぐる
平日のプライベートはテレビがメインで時間は短め
国が、文化が違えば日常生活の過ごし方も違ってくる。米国の人達はどのような日々を過ごしているのか。米国の人達の実情を同国の労働省労働統計局の公開情報「American Time Use Survey」をもとにプライベート(趣味趣向)時間の配分の観点から確認していく。
まず最初に示すのは、15歳以上の平日における趣味趣向の時間配分。15歳以上すべてが対象のため、就業者以外に無職の人、さらに休日などに働く就業者も含まれる。該当日には就業している人の比率が高いためか、後述の休日などと比べると短めの値が出ている。
運動やスポーツは10分から20分、雑談などは30分程度、テレビ鑑賞は2時間半、読書は20分足らず。ゲームで遊ぶ時間は案外少なく30分にも満たない。男女別ではさほど大きな違いは無し。テレビやゲームは男性が長め、読書や雑談は女性が長めとなっており、それらしい傾向を見せている。
これを属性別に見たのが次以降のグラフ。まずは年齢階層別。
運動は20歳未満がやや長めで後は変わらず。やや中堅層と高齢層が短い程度か。雑談も大きな変化は無し。読書やくつろぎの時間は歳を経るほど長くなり、特に75歳以上では読書が大きく伸びる。ゲームなどは20歳以上が大きく伸びており、それ以降は減っていく。ただし中堅層以降は再び伸びていくのが興味深い。ゲーム以外に個人目的のインターネットアクセスも含まれるため、多分にそちらが加味されているのだろう。
テレビ鑑賞時間は要注目。中堅層まではほぼ横ばい、45歳以降は増加しはじめ、シニア層になると大きく伸びる。65歳以上は平日でも4時間前後をテレビ鑑賞にあてている。これは仕事を辞めて時間に余裕ができ、それをテレビに費やしているからなのだろう。
「就業者」とはフルタイム就業もパートタイム就業も含めた働き人全体の平均。フルタイムよりもパートタイムの方が自分の時間が取りやすく、そして非就業者は当然もっと自分の時間への余裕が出てくるので、各余暇の時間が長いものとなる。もっとも非就業者が大きく伸びるのはテレビ。暇な時にはテレビが一番の友のようだ。
学歴そのものよりもその学歴(に至った実力)に寄るところが大きいが、大よそ高学歴ほど運動や読書の時間は伸び、テレビ鑑賞やくつろぎの時間は短くなる。知的行動への傾向が強まるのか、あるいは長時間の消費を良しとしない性質なのか。それとも単に忙しいだけなのかもしれない。
休日は多様化、でもテレビが最長に変わり無し
続いて休日の実情。今件の休日は暦上のものであり、休日に働く人もいるため、就業者のお休みの日ではないことに注意する必要がある。また無職者にとっては平日と休日の差異はあまり無い。
いずれも平日と比べてやや長くなるのは当然だが、特にテレビ鑑賞時間において男女の差が大きくなっているのが特徴的。男女間で1時間近い差が生じている。また、ゲームなどの時間も長くなる。
年齢階層別では学校や就業による時間拘束がほとんどなくなるため、平日と比べると極端な差異が出なくなっており、次第に増加・減少の動きを見せるようになる。それぞれの年齢階層における好き嫌いがそのまま表れていると見て良いだろう。特にテレビや読書の値でシニアが、ゲームで若年層が大きな値を示しているのが特徴的。
就業形態別ではほとんどの人が休みとなるため、実質的に大きな差異は出ていない。非就業者だけテレビで突出した値を示しているが、これは少なからず高齢者が多分に占めることによるものだろう。とはいえ休みの日に「ながら鑑賞」を含めずにテレビに注力するのが1日4時間とは、ずいぶんと長いような気がする。
学歴別は実質的に回答者の知識探求心の大きさや就業先の多忙さに連動すると考えられるが、休日では大よそ前者の影響を受けているようだ。テレビ鑑賞時間は高学歴ほど減り、読書時間は増えていく。
今件はあくまでも平均値であり、個人差は多々生じうる。しかしながら、属性別に仕切り分けした統計値によって、それぞれの属性の行動性向、日々の過ごし方、余暇の楽しみ方の違いが透けて見えてくるのは興味深い。特にテレビ鑑賞時間の長さの動向は、日本とさほど変わりがないことを実感させてくれる値の動き方であり、注目したいところでもある。
■関連記事:
アメリカの子供達のテレビやゲームの接触時間・決まりごとをグラフ化してみる
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。