自宅にテレビがある人は95%
インターネットの登場でメディアのパワーバランスは大きな変化を迎えたが、それでも利用ハードルの低さや影響力、いわゆるメディア力の観点で、今なおテレビ放送が最大の影響力を有していることに違いはない。今回は総務省が2017年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、テレビ放送を受信し閲覧する主なツールとなる、テレビ受信機の浸透状況を確認する。
次に示すのはテレビ受信機の所有状況。自宅にある・無しを回答者に答えてもらい、ある場合には回答者自身が利用しているか、それとも利用していないか、無い場合には自宅に欲しいか、いらないかを答えてもらっている。単純にある無しの回答だけでなく、ある場合には利用状況を、無い場合には所有希望の有無まで尋ねることで、細かいテレビ受信機の需要を精査できる。なお今件はあくまでもテレビ受信機に限定されており、パソコンや携帯電話のワンセグ機能などは該当しない。
まずは自宅にある人の状況。
回答者が世帯主とは限らないため、世帯主を対象とする他の調査とはいくぶん異なる動きを示しているが、大よそどの回答者も自宅にテレビはあると答えている。またテレビはあるが観ていない人はごく少数。
属性別の違いを見ると、ほぼ誤差の範囲の動きしかないが、かろうじて低年収ほど所有率が低いような動きを見せている。
逆にテレビが自宅に無い人はどのような心境を抱いているのだろうか。普通のテレビ関連の調査では得難い状況の確認ができる。
テレビ受信器保有率が一番低いのは、属性別では年収200万円未満の人。ただしその大部分はテレビ受信機そのものを必要としていない。また年収200~400万円未満の人や10~30代も比較的非保有率が高いが(50代は傾向的にイレギュラー値だろう)、大部分は必要ないとの認識。非保有者において、欲しいとの意見が欲しくないを上回っているのは各属性の仕切りでは皆無。現時点でテレビ受信機を持っていない人は、受信器そのものを必要としていない、欲しいが何らかの理由で手に入らないわけではないことが分かる。
とはいえ、属性別で最大の非保有率ですら7.9%。テレビ受信器が最大のマスメディアツールであることに違いはなさそうだ。
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※平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査
2016年11月26日から12月2日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時併行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。