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外飲みか家のみか飲酒はダメか…会社員の「仕事後の一杯」の実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 仕事帰りに居酒屋で一杯。楽しいひとときではあるが(ペイレスイメージズ/アフロ)

家飲みは男性会社員は4割強

就業者にとって昼食時間と共に数少ない憩いの時間が「居酒屋などでの飲み」。ちょっとした料理の味を楽しみながら、日頃の疲れをお酒で晴らす、息抜きとして多くの人が堪能している。一方、最近ではお酒や料理を自宅で用意し、居酒屋的な気分を自宅で味わう「家飲み」も注目されるようになった。今回は新生銀行の定点観測的調査報告書「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版をもとに、経験している人は多いものの、全体的な状況は把握しにくい、会社員の飲み事情を確認する。

まずは仕事が終わった後の息抜き、娯楽としてのお酒の飲み傾向について。居酒屋などでの外飲みをするか、外飲みはしないが家飲みをするか、そもそもお酒は飲まないか、この3つの選択肢から1つを選んでもらっている。全体としては男性は4割強が外飲み・1/3近くくが家飲み・1/4強がお酒を飲まない、女性は1/3強が外飲み、3割が家飲み、1/3強がお酒を飲まないとの結果に落ち着いた。

↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、男性、2017年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、男性、2017年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、女性、2017年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(会社員、女性、2017年)

男性は年齢階層別では若年層ほど外飲みが多く、歳を経るに連れて自宅飲みが増えていく。家飲みが増えるのは、配偶者と共に飲む時間を大切にしているのかもしれない。また若年層の酒離れ的な言い回しも聞かれるが、今件調査の限りではそのような動きは見られない。

女性も男性とほぼ同じ傾向で、若年層ほど外飲みが多く、歳を経るに連れて自宅飲みが増えてくる。金銭的問題に加え、未既婚の違いが影響しているものと考えられる。働き人であっても既婚の女性が外飲みをすることに、懸念を示す配偶者も少なからずいるのだろう。また歳による「酒は飲まない」派の比率に差異が生じていないのは興味深い。

外飲みの回数と金額と

今調査では外飲みをしている人に限り、その回数の集計も行っている。外飲みをしている人には自分との差異をチェックし、多いか少ないか、比較のための参考値といえる。

↑ 仕事が終わった後、1か月平均で何回ぐらいお酒を飲みに行くか(2017年、回、外に飲みに行く人限定)
↑ 仕事が終わった後、1か月平均で何回ぐらいお酒を飲みに行くか(2017年、回、外に飲みに行く人限定)

男性は歳を経るに連れて回数が増えていくが、女性は逆に若年層の方が回数は多い。外飲みそのものには違いないが、自発的かあるいは誘われてか、その立ち位置も多分に影響を与えている感はある。未既婚別の動向が分かればよいのだが、残念ながら未公開。

他方、飲み代だが外飲みに関しては、男性は大よそ歳を経るに連れて外飲みの金額は上昇していく。飲みにおける付き合いの仕方、相手が変わり、より金額を消費する場となるのだろう。一方で女性は年齢による法則的な差異は見られない。

↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(男性、2017年、円)
↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(男性、2017年、円)
↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(女性、2017年、円)
↑ 飲む人の1回あたりの平均飲み代(女性、2017年、円)

家飲みでは相手との兼ね合わせを気にすることなく、純粋に自分の好みで料理や酒を選べること、安上がりでお気軽に楽しむのを一義的にしていることから、年齢階層別の金額における法則性が見出しにくい。

年齢別で差異はあるが、男女を問わず家飲みは外飲みの大よそ半分で済むことになる(女性の30~40代はイレギュラーの感はある)。居酒屋などの料理、雰囲気を楽しみたいのなら話は別だが、純粋にお酒や小料理を堪能し、一息つきたいだけなら、家飲みを選択する人が増えるのも道理といえよう。

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※2017年サラリーマンのお小遣い調査

今調査は2017年4月7日から9日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2714人。男女正規就業者に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料で多分を占める会社員(正社員以外に契約・派遣社員も含む)は男性1252人・女性789人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が43.6対56.4、女性は64.9対35.1。なお今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけではないことに注意。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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