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女性中高齢層で生じる減少の足踏み…半世紀以上にわたる年齢階層別成人喫煙率の推移をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 昔は喫煙が大人の象徴との社会的認識もあったが……(写真:アフロ)

JTは2017年7月27日に、2017年分となる「全国たばこ喫煙者率調査」(※)の結果を発表した。この発表資料には年齢階層別の喫煙率も掲載されており、1965年以降の半世紀以上に渡る同調査の蓄積データを最新の値に更新することが可能となった。そこで今回はそれを元に、いくつかの切り口から日本の喫煙率の動向を確認していく。

まずは今回入手したデータを元に、1965年以降の全データの値動きをまとめてみる。

↑ 性別・年齢階層別喫煙率の推移(JT調査から)(~2017年)
↑ 性別・年齢階層別喫煙率の推移(JT調査から)(~2017年)

状況・傾向としては次の通り。

・男性は減少傾向。特に50歳以降の高齢者、また最近では20代の若年の喫煙率減少が著しい。

・女性は1980年前後を境に「高齢層>若年層」から「高齢層<若年層」に。

・女性は高齢者の喫煙率は減少傾向にあるが、50歳以下、特に20代から30代の喫煙率が前世紀末では上昇していた。中でも20代はこの40年で喫煙率が2倍増になった。

・今世紀に入ってからは女性で「若年層…横ばいか減少」「中堅から高齢層…横ばいか微増」となり、前世紀末期とは逆の動きを示している。中でも20代から30代は減少を続けており、再び「高齢層>若年層」への流れが見えている。

上記グラフでは分かりにくい部分もあるが、ここ数年に限ると、男女ともに若年層の喫煙率の減退と、特に女性における中堅層以降の足踏み感の気配が見受けられる。単年ならばイレギュラーと解釈することもできるのだが、最近の値動きは下落とは解釈し難く、横ばいと見た方が道理は通る。今件は喫煙者数ではなく喫煙率であり、高齢層人口の増加との直接的な関連性は無いが、注視すべき動きには違いない。

↑ 性別・年齢階層別喫煙率の推移(JT調査から)(2012年~2017年)
↑ 性別・年齢階層別喫煙率の推移(JT調査から)(2012年~2017年)

女性において若年層にあたる20代、30代はともかくも40代以上で喫煙率の減少に足踏み感が見えるのには大いに留意が必要である。人口比では高齢層の方が多い以上、その層で喫煙率が減少しなければ、今後全体の喫煙率も横ばい、さらには上昇を示す可能性が出てくるからだ。

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※全国たばこ喫煙者率調査

1965年以降JTが毎年、定点観測的に実施しているもので、2017年分の調査では前回同様に層化二段抽出法が用いられ、郵送依頼・郵送回収法で実施している。成人(20歳以上)の男女約3万2000人を対象に依頼し、今年は1万9875人の有効回答が得られた(有効回収率は61.9%)。喫煙率の算出の際には、回答者の性別・年齢階層において、成年人口構成比に合わせて補正(いわゆるウェイトバック)が行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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