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2016年は1327万世帯…高齢者世帯数の推移をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 高齢者のみの世帯「高齢者世帯」。その実数は(写真:アフロ)

高齢化社会の到来と共に、高齢者がいる世帯の実情が注目を集めている。中でも高齢者世帯(高齢者のみ、あるいはそれに18歳未満の未婚の者がいる世帯)の動向は、社会的な孤立やトラブル発生時の対応などを考えると、大いに気になるところ。その実状を厚労省の国民生活基礎調査(※)の結果をもとに確認する。

「高齢者世帯」の具体的な世帯数推移を示したのが次のグラフ。直近データの2016年においては、男性のみ世帯数が1.00とすると、女性のみ世帯数は2.13、夫婦(共にお年寄り)のみ世帯が2.96の割合となっている。なおグラフ中の注記は無いが2012年分は福島県では未調査となっているため、その分の値は除外されている。

↑ 世帯構造別にみた高齢者世帯数の年次推移(万世帯)(~2016年)
↑ 世帯構造別にみた高齢者世帯数の年次推移(万世帯)(~2016年)

この30年の間(1986~2016年)に「高齢者世帯数」そのものは5.62倍、男性のみの単独世帯に限れば8.52倍にまで増加した計算になる。増加率は男性単独世帯の方が大きいが、絶対数は女性単独世帯の方が2.13倍ほどで、446万4000世帯にも及ぶ。これはひとえに女性の方が寿命が長いことによるものである。特に「夫婦のみ世帯」で配偶者に先立たれ、単独世帯になる人において、その傾向が強いと容易に想像できる。

女性の長寿命を別の視点で確認できるのが次のデータ。男女それぞれの高齢者単独世帯における、年齢階層構成比を示したものだが、明らかに男性よりも女性の方が高齢化が著しい。

↑ 高齢者単独世帯の構成割合(2016年)
↑ 高齢者単独世帯の構成割合(2016年)

例えば80歳以上で区切ると、男性は24.2%・女性は40.6%と、16.4%ポイントの開きがある。独り暮らしをしている高齢者のうち、男性は4人に1人・女性は5人に2人が80歳以上と表現を変えてみると、一人暮らしのお年寄りのリスクの高さが改めて認識できる。

高齢者世帯の増加に伴い、バリアフリーに関する問題、「買物困難者」に代表される社会生活上のインフラの対応、そして健康管理など、多種多様な問題が表面化し、トラブルの増加が容易に想像される。各種対策が急務であることはいうまでも無い。

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※国民生活基礎調査

全国の世帯及び世帯主を対象とし、各調査票の内容に適した対象を層化無作為抽出方式で選び、2016年6月2日・7月16日にそれぞれ世帯票・所得票・介護票、所得票・貯蓄票を配ることで行われたもので、本人記述により後日調査員によって回収され、集計されている(一部は密封回収)。回収できたデータは世帯票・健康票が22万4208世帯分、所得票・貯蓄票が2万4604世帯分、介護票が6790人分。

今調査は3年おきに大規模調査、それ以外は簡易調査が行われている。今回年(2016年分)は大調査に該当する年であり、世帯票・所得票だけでなく、健康票・介護票・貯蓄票に該当する調査も実施されている。

また1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分、2011年分は東日本大地震・震災の影響で岩手県・宮城県・福島県(被災三県)の分、2012年は福島県の分、2016年は熊本地震の影響で熊本県の分はデータが取得されておらず、当然各種結果にも反映されていない。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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