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トップは東京、69%…都道府県別スマートフォン利用率をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多くの人が気軽に利用するようになったスマホ。その普及率は地域差があるのか(写真:アフロ)

今や加速度的に普及が進みつつあるスマートフォン。そのスマートフォンを使ってインターネットにアクセスをしている人は6歳以上の全員比で57.9%(2016年時点)との実情が、総務省が2017年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値から明らかにされている。それではその利用率は全国一様なのだろうか、それとも地域によって大きな差異が生じているのだろうか。今回は都道府県別のスマートフォンによるインターネット利用率の現状を確認する。

スマートフォンだけでなくデジタル系の新しい商品やサービスなどは全般的に、年齢階層構成比率が、そのまま利用率、普及率に反映される事例が多い。つまり都市圏よりも地方ほどシニア層比率が高く、同層では年齢的な問題から、新商品・サービスの利用率が低くなるため、必然的に「地方」=「高齢層多い」=「高齢層の利用率が低い新商品の、その地域全体としての利用率も低くなる」というものだ。この傾向はアメリカ合衆国のリサーチ会社による調査結果(Pew Research社のものなど)でも良く出ている。

そこで都道府県別の「スマートフォンでインターネットを利用している人」の比率を算出し、地域別の利用率動向を調べることにする。次のグラフがその結果だが、全体では57.9%、最高値は東京都の68.6%、最低値は秋田県の44.8%。23.8%ポイント・1.53倍もの差が出ている。

↑ スマートフォンでインターネットを利用している人(2016年、各地域全体)
↑ スマートフォンでインターネットを利用している人(2016年、各地域全体)

ざっと見ると神奈川県・東京都・埼玉県などの関東圏、大阪府・滋賀県などの近畿圏、福岡県などの九州北部圏など、人口密集地帯・都市地域で高い値を示している。一方で、それ以外の地域のうち、人口が比較的少なめな都道府県では値が低く抑えられている感はある。

ただし直上でも触れているように、もっとも低い秋田県でも44.8%と4割を超えている。ほんの数年前までは「未来の携帯電話」「持っている人を見かけるのは滅多にない」「電車内で操作していると羨望のまなざしを多方向から感じ取れる」状況だったスマートフォンの利用率とは考えられない値に違いない。ほんの数年で未来が突っ走ってきた感がある。

上記グラフは各都道府県の動向を知るのには役立つが、上位陣・下位陣を探すのには少々難儀する。そこで並べ替えをして、上位10位、下位10位のものを生成した。

↑ スマートフォンでインターネットを利用している人(2016年、各地域全体)(上位10位)
↑ スマートフォンでインターネットを利用している人(2016年、各地域全体)(上位10位)
↑ スマートフォンでインターネットを利用している人(2016年、各地域全体)(下位10位)
↑ スマートフォンでインターネットを利用している人(2016年、各地域全体)(下位10位)

上でも触れているが最上位は東京都の68.6%。次いで神奈川県の64.0%、埼玉県の63.2%が続く。関東地域をはじめ、人口密集地帯(=人口比率的に若年層が多い地域)が上位を連ねている。

一方で下位は秋田県の44.8%をはじめ、山形県、青森県のような、比較的人口比率で高齢層が多い地域が名前を連ねている。スマートフォンの所有・利用は年齢属性との関係が深いことを考えると、この動向は理解もできるものだ。

今回計測年で全体でも6割に届きそうな値にまで伸びた、スマートフォンによるインターネット利用率。この値が上昇を続けるに連れて、インターネット界隈そのものはもちろんだが、周辺、関連する業界もまた、大きな変化に相対するに違いない。

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※通信利用動向調査

2016年11月~12月に世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7040世帯(4万4430人)、2032企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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