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利用端末別にソーシャルメディアの利用率をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ いつでもどこでもスマホでソーシャルメディア。互いが相手の成長をサポート(写真:アフロ)

昨今ではモバイル端末のスマートフォンとタブレット型端末の普及が目覚ましいが、これらの端末の浸透を大いに助け、また逆にそれらの普及で利用者が大きく伸びているのが、ウェブサービスのソーシャルメディア。それでは実態としてどれぐらいの人が、どの端末を使ってソーシャルメディアを利用しているのだろうか。総務省が2017年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)をもとに、その実情を確認する。

今調査の結果においては、インターネットへのアクセス手段としてパソコンを使っている人は6割近く、携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方合わせて)で2/3強。タブレット型端末では1/4に迫る勢い。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2016年)(パソコン)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2016年)(パソコン)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2016年)(パソコン以外)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2016年)(パソコン以外)

それでは昨今のインターネットでは欠かすことができないウェブサービス「ソーシャルメディア」(ここではFacebookやツイッター、mixiのようなSNSに限らず、世間一般においてソーシャルメディアと認知されているLINEなども含む(質問票にもそのような記載あり)。ただし広義のソーシャルメディアでは該当するブログや掲示板、動画投稿・共有サイトは、別選択肢として用意されているため、ここでは含まれない)に関して、いかなる端末からアクセスされているのだろうか。それを確認する。

次のグラフは「該当機種にてインターネットを利用している人」のうち「該当機種でソーシャルメディアを利用している人」の割合を表したもの(利用サービス無回答者は計算から除外)。

例えば「タブレット型端末」では63.5%と出ているが、これは「タブレット型端末を利用してインターネットにアクセスする人のうち、63.5%がソーシャルメディアを利用している」ことになる。「ソーシャルメディア利用者の63.5%がタブレット端末利用者」「インターネット利用者の63.5%がタブレット型端末でソーシャルメディアを利用している」を意味するのではないことに注意。要は「各機種によるインターネット利用者における、ソーシャルメディアへのアクセス率」を示している。

↑ 利用端末別ソーシャルメディア利用率(2016年)
↑ 利用端末別ソーシャルメディア利用率(2016年)

パソコンは5割強、従来型携帯電話はほぼ3割。そしてスマートフォンが2/3近く、タブレット型端末では6割強。意外なことにネット接続型テレビでも7割強、家庭用ゲーム機などでも6割強との値が出ている。

今件は上記にある通り「ソーシャルメディア利用者全体に占める比率」ではなく、「各端末利用者に占める比率」なことに留意する必要があるが、パソコンよりもスマートフォン・タブレット型端末の方が、そして携帯電話においても従来型よりスマートフォンの方が、ソーシャルメディアとの相性が良いことがあらためて確認できる結果となっている。

これをソーシャルメディア及びそれに類するサービス(広義でのソーシャルメディア)で確認したのが次のグラフ。

 ↑ 利用端末別ソーシャルメディア等利用率(行動様式別)(2016年)
↑ 利用端末別ソーシャルメディア等利用率(行動様式別)(2016年)

それぞれの機種ごとでよく利用されている、相性の良いソーシャルメディアなどの種類の違いがよく出る結果となっている。狭義のソーシャルメディアや無料通話アプリなどはスマートフォンでの利用が多く、ウェブサイトやブログではタブレット型端末の多数が利用している。またインターネットに接続できるタイプのテレビでは多様なソーシャルメディア系サービスが活用されているのも分かる。電子メールの送受信はどの機種もさほど変わらず高い値を示しており、機種の性能・特性に捕らわれない低いハードルのツールであることも確認できる(あくまでもそれぞれの機種利用者全体に占める割合であり、絶対数では無いことに注意)。

電子メールを除けば従来型携帯電話利用者に占める値が低いのは、端末の機能そのものが低く未対応の場合もあるので仕方がないところもある。最近ではサービスを打ち切る事例も多々見受けられる。他方、ネット接続型テレビや家庭用ゲーム機が、イメージ以上にソーシャルメディアの利用に活用されている実態もうかがい知れる。

特に動画投稿・共有サイト(YouTubeやニコニコ動画など)は、ネット接続型テレビ利用者の7割強、家庭用ゲーム機利用者の8割強が利用している計算になる。Facebookやツイッターなどのソーシャルメディア以上に、コミュニケーション系サービスとして浸透していると解釈することもできよう。もっとも動画共有サイトの場合は、多分に視聴がメインで、一方向性的な面、やや強引だが「利用者が自在に検索し選択できる映像コンテンツ局」としての認識が強いのだが。

■関連記事:

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パソコン5割にスマホが4割…ソーシャルメディア利用時にもっとも使う端末は?】

※通信利用動向調査

2016年11月~12月に世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7040世帯(4万4430人)、2032企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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