「虫歯がある」大人は約3割…永久歯の虫歯の実情をさぐる

↑ 子供も大人も虫歯は避けるべき存在。こまめな検診は欠かせない。(ペイレスイメージズ/アフロ)

子供も大人も虫歯の痛みはツラいもので、食事が美味しくいただけなるだけでなく、集中力の低下など日々の生活にも悪影響を及ぼすことになる。さらに虫歯を放置しておくと身体の他の部分にまで疾患が生じる可能性もある。乳歯と違って二度と抜け替わることのない永久歯における「う歯(齲歯。齲蝕した歯。いわゆる「虫歯」)」の実情を、厚生労働省が2017年6月に発表した歯科疾患実態調査(※)の2016年調査分の概要から確認する。

今回精査の対象としたのは、5歳以上の永久歯の現状。虫歯のあるなしで区分すると、「虫歯がまったく無い人」以外に、「虫歯だった経験があるがすでに治療済み(処置完了)」「治療済みの歯もあれば、治療中の歯もある(処置歯・処理歯双方が存在)」「虫歯を抱えている(未処理歯)」の4通りに分けられるが、その構成比を年齢階層別に見たのが次のグラフ。

↑ 現在の歯に対して「う歯」を持つ人の割合(永久歯対象)(2016年)
↑ 現在の歯に対して「う歯」を持つ人の割合(永久歯対象)(2016年)

10歳未満の子供における永久歯の虫歯状況は1割足らず。これが10代に入ると急激に増え、20代になると8割から9割が「永久歯が虫歯」「永久歯が虫歯だった」状態になる。もっとも「治療していない歯だけ」の人はごく少数で、大抵が治療済み、あるいは治療過程にあるのか混在状態との結果が出ている。30代に入ると「虫歯も治療したことのある歯も無い」は1%未満から3%程度でしか無い。

一方で60代以降「治療中・未治療混在」の割合はあまり変わらないにも関わらず「処置完了」者の割合は減り、「虫歯が無い」人が増えて行く。他データによれば歳を経るほど「喪失歯」も増えていることから、老化などで歯が抜け落ち、結果として「虫歯が無くなった」状況になったものと推定される(2016年における85歳以上の平均喪失歯は17.5本である)。この場合「虫歯が無い」が歯的に健康であるとは限らないことになる。あるいは単に、この世代は虫歯に強い可能性もあるが。

これを1987年以降の過去調査データと併記したのが次のグラフ。このグラフにおける「う歯」とは治療済み、治療中の双方を含む。

↑ う歯を持つ人の割合推移(1993年以前、1999年以降では「未処理歯」の診断基準が異なるため、純粋な継続性は無い)
↑ う歯を持つ人の割合推移(1993年以前、1999年以降では「未処理歯」の診断基準が異なるため、純粋な継続性は無い)
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25-34歳までは明らかに現代に近づくに連れて減っているが、35~44歳ではほぼ横ばい、45歳以降は漸増しているのが分かる。特に65歳以上で増加傾向が著しい。

これは「高齢者における虫歯が深刻化している。歯みがきの啓蒙や予防技術の点で問題があるのでは?」といった話では無く、「経年における喪失歯の数・喪失者率が減少しており、虫歯になる可能性がある自前の永久歯を持つ人が増え、自前の永久歯の数も増えているから」に他ならない。詳しいグラフ化は略するが、全年齢階層で喪失者率、喪失歯の数の平均は減少している。

↑ 65~69歳における喪失歯所有者比率と平均喪失歯数
↑ 65~69歳における喪失歯所有者比率と平均喪失歯数

自分自身の歯を少しでも多く残し続けられるよう厚生医療状況は進展を遂げているが、同時に虫歯になるリスクも増加してしまう(どれほど予防策を打っても、虫歯リスクをゼロにはできない)。ある意味、皮肉な話ではある。

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※歯科疾患実態調査

歯科保健状況の把握のために必要な資料を構築するため、1957年以降6年毎に実施しているもの(2017年発表分からは5年おきに変更されている)。今回概要が公開された2016年分については、2016年の国民健康・栄養調査において設定される地区(2010年の国勢調査の調査区から層化無作為抽出された世帯)からさらに抽出した地区の満1歳以上の世帯員を調査客体とし、国民健康・栄養調査の身体状況調査と共に実施(熊本地震の影響により熊本県全域を除く)。調査対象者数は男性2868人・女性3410人の計6278人。一部は質問紙調査だけでなく口腔診査受診も実施している。