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乳歯の虫歯数は年々減少中

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 虫歯予防のために歯みがきは欠かせない。それでも虫歯になる子供も……(ペイレスイメージズ/アフロ)

大人にとっても子供の頃の虫歯の記憶は痛烈に残っているほど、ツラい痛みを覚えるのが幼い時の虫歯。子供の虫歯は昔と比べ、随分と減っている印象もあるが……その実情を、乳歯の虫歯の動向の観点で、厚生労働省が2017年6月に発表した歯科疾患実態調査(※)の結果から探る。

今回「子供」の範ちゅうとして対象としたのは、乳幼児など(各法令に「乳幼児」として定められた0~6歳のうちゼロ歳児を除く1~6歳、さらには取得可能な調査年においては14歳まで)における平均的な「う歯(齲歯。齲蝕した歯。いわゆる「虫歯」)」の数の推移。

グラフ中に「dft指数」とあるが、この「dft」とは「Decayed and Filled Teeth」の略で「虫歯」と「(虫歯を)処理済みの歯」のことを意味する。つまり「dft指数」とは一人当たりの「虫歯か、虫歯だった歯の数」を意味する。ちなみに大文字は永久歯、小文字は乳歯を指す。今件は資料では小文字で記述されているため、乳歯の動向となる。「虫歯」「(虫歯を)処理済みの歯」双方を持たない人も含めた被験者全員の平均値であることに注意)。

↑ 乳歯の一人平均う歯数(dft指数)(2016年、年齢階層別)
↑ 乳歯の一人平均う歯数(dft指数)(2016年、年齢階層別)
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↑ 乳歯の一人平均う歯数(dft指数)推移(1~14歳)(1993年以前、1999年以降では「未処理歯」の診断基準が異なるため、純粋な継続性は無い)
↑ 乳歯の一人平均う歯数(dft指数)推移(1~14歳)(1993年以前、1999年以降では「未処理歯」の診断基準が異なるため、純粋な継続性は無い)

「未処理歯」の基準が途中で変わっているため厳密な意味での継続性は無いものの、大まかな値動きとしては「成長するにつれて虫歯が増える。6歳がピークで以降は減る(永久歯に生え替わり始めるから)」「以前よりも最近の方が、乳歯の虫歯の数は少なくなる」傾向なのが分かる。直近の2016年では6歳児の平均虫歯+虫歯だった歯は2.4本だが、1987年時点では8本近く存在していた。

「乳歯にう歯(未処理・処理済み含む)を持つ人の割合」そのものも減少を続けており、1987年時点では5歳児で89.9%・6歳児で90.5%だったものが、2016年時点ではそれぞれ39.0%・45.5%にまで低下している。dft指数が減退しているのも、「乳歯にう歯(未処理・処理済み含む)を持つ人の割合」そのものが減っているのも一因ではある。

↑ 乳歯にう歯(処置完了・未処置合わせ)を持つ人の割合の推移
↑ 乳歯にう歯(処置完了・未処置合わせ)を持つ人の割合の推移

この理由について報告書では特に説明は無い。多分に公衆衛生の進歩、歯みがきをはじめとした虫歯予防の啓蒙の結果など、多方面での努力の成果によるものと考えられる。個体差もあるためゼロにすることは事実上不可能だが、このままさらに減少の動きを見せて欲しいものだ。

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※歯科疾患実態調査

歯科保健状況の把握のために必要な資料を構築するため、1957年以降6年毎に実施しているもの(2017年発表分からは5年おきに変更されている)。今回概要が公開された2016年分については、2016年の国民健康・栄養調査において設定される地区(2010年の国勢調査の調査区から層化無作為抽出された世帯)からさらに抽出した地区の満1歳以上の世帯員を調査客体とし、国民健康・栄養調査の身体状況調査と共に実施(熊本地震の影響により熊本県全域を除く)。調査対象者数は男性2868人・女性3410人の計6278人。一部は質問紙調査だけでなく口腔診査受診も実施している。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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