子供達がタブレット型端末でしていることをさぐる
動画視聴が一番、次いでゲームや情報検索
スマートフォンほどの派手さ、注目度は無いが、昨今のデジタル機器界隈で確実に普及浸透度を底上げしているのがタブレット型端末。スマートフォンより画面は大きく、パソコンよりも機動性に優れていることから、双方の良いところ取り的なポジションにある。昨今ではキーボードを接続することでノートバソコン的に使える商品も展開しはじめ、興味深い動きを見せているタブレット型端末に関して、子供達がどのような使い方をしているのか、内閣府が2017年3月に確定報を発表した「平成28年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)から確認していく。
次に示すのはタブレット型端末、それに加えて学習用タブレット、さらにはネット接続テレビそれぞれでインターネットを利用している人における、その端末による利用内容を示したもの。普段からその目的で利用していると認識した項目に答えてもらっている。「コミュニケーション」とは電子メールやメッセンジャー、ソーシャルメディアなど、他人との意思疎通ができるサービス全般を意味する。
まず汎用的なタブレット型端末では、動画視聴がもっともよく行われており2/3近く。次いでゲーム、情報検索。ここまでが過半数。音楽視聴やコミュニケーションも多くの人が使っている。利用性向としてはパソコンのそれに近い。
他方学習用タブレットでは「その他」がもっとも多く過半数。具体的な中身は説明がないが、タブレット自身の特性を合わせ考えると「学習」辺りが当てはまるのだろう。それ以外では動画視聴や情報検索、コミュニケーションがほぼ同率だが2割足らず。他方、電子書籍の割合は1割強とやや高め。学習向けの端末ならではの値動きを示している。
昨今では地道に、しかも確実に普及し始めているインターネット接続テレビでは動画視聴の利用性向がもっとも高く5割超え。テレビの特性を考えれば当然の結果ではある。それ以外ではゲームやニュースが高めで2割近く。これもまた、テレビがおかれているポジション(物理的な意味も合わせ)を考えれば納得のいく値動きには違いない。
これを各機種でインターネットを利用している人に対する割合では無く、全体比で算出したのが次のグラフ。例えばタブレット型端末の動画視聴は13.9%とあるので、小中高校生全員のうち13.9%が、タブレット型端末を使ってネット経由で動画視聴をしていることになる。
タブレット型端末はネット利用普及率がそこそこ(全体比で20.9%)あるため、他機種と比べても群を抜いて高い値を示している。情報検索、ゲームで1割超え、音楽視聴は8%強、コミュニケーションも6%ちょっと。他方、学習用タブレットやネット接続テレビは、全体比では誤差の範囲でしかない。実質的に学習と思われる、学習用タブレットの「その他」も1.7%、ネット接続テレビの動画視聴も1.4%に留まっている。ポテンシャルはそれなりにありそうだが、まずは機種そのものの普及率向上が必要不可欠には違いない。
高校生に限ってみると
今回の調査対象母集団のうちもっとも金銭面での融通性が高く、また年齢の上でも大人に近い高校生に限定した結果が次以降のグラフ。
動画視聴がトップで情報検索が高値を付けている点は変わらないが、ゲームが値を落としている。他の機種動向でも見られた動きで、高校生はゲームそのものへの興味関心が薄れていることを示唆している。一方で音楽視聴や電子書籍、地図・ナビゲーションはむしろ値を伸ばしており、実用的な使い方をしていることが分かる(あるいは逆で、実用できるような知識経験を有するようになったからだろう)。
学習用タブレットでは学習と思われる「その他」以外も、学習に関わり合いがありそうなニュース、情報検索、動画視聴、電子書籍の項目で小中高校生全体と比べると高い値。またネット接続テレビではニュースが高めの値となっている。
これを高校生全体比で算出したのが次のグラフ。
高校生では1割近くがタブレット型端末で動画視聴をしている。情報検索や音楽視聴、ゲームも5%前後の利用者がいるが、高い値ではない。これはひとえにタブレット型端末でネットを利用する人の割合が小さいため(高校生全体比は14.1%)。大よそこれらの行為はスマートフォンで可能なため、わざわざタブレット型端末などで行う必要性を覚えないのだろう。
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※平成28年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2016年11月5日から12月11日にかけ満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用。有効回答数は青少年が3284人(うちウェブ経由は108人)、保護者は3541人(うちウェブ経由は55人、郵送回収法は34人)。