諸外国の国民が思う、相手の国の好き嫌いの実情
国としての政策姿勢とは別に、国民レベルで他国に向けた好感、嫌悪感といった感情は確実に存在する。その実情を新聞通信調査会が2017年4月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2017年調査)」(※)の内容から探る。
次に示すのは調査対象国各国における、自国以外の国への好感度の指標。好感が持てる(強弱)、好感を持てない(強弱)、加えて実質的にもう一つの選択肢である無回答(あるいは分からない)も合わせ5択のうち、強弱を合わせた好感が持てる派の回答率を合計した値となっている。日本は調査実施国では無いので掲載されておらず、また各国において自国の部分は空欄となっている。
各国の市民感情としての他国への敬愛度、好感度が如実に現れているのが興味深い。アメリカ合衆国は日本以外では英仏への値が高く、タイは6割強と高め。中韓へは4割から5割に留まっている。イギリスやフランスも似たようなものではあるが、イギリスではアメリカ合衆国よりもフランスへの値が高めなこと、中国の値が高く出ていること、韓国への値が低いのが目に留まる。フランスでは対日、対英の値が特段高いが、一方で対米の値が低めで、対韓の方がむしろ高い値を示しているのが特徴的。なおイギリスの好感度の値が押しなべて低めとなっているのは、他の回答事例から察するに「無回答」の値がそれなりに高めとなった結果だと思われる。
タイは押し並べてどの国へも好感度が高いが、唯一中国は5割程度。韓国では日本に対する値が一段と低いが、タイへの値も低め。アメリカ合衆国への好感度が一番高く、中国への値は同国内では低めとなっている。
中国はといえば、英仏への好感度が一段と高く8割前後、次いで対米・対タイが6割近く。そして日本は一段と低く1/4程度でしかない。これは諸国で一番低い値。
これらの値はあくまでも一般市民の思惑であり、各国の政府や行政などの姿勢とは別物。とはいえ民主主義国家では多分に市民感情なるものが国策に影響を与えうることを考えると、無視できない結果には違いない。
なお対日本の値に限り、さらに今調査の過去の値も含めた経年変化をまとめたのが次のグラフ。
少なくとも調査対象国の限りでは、二極化しているのが改めて確認できよう。
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※諸外国における対日メディア世論調査
直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年2月から3月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。