「夫は外働き、妻は家事」反対派は過半数
夫婦間の仕事感・両者の関係における古くからの考え方の一つとして「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」というものがある。他方、昨今では女性の社会・職場進出や雇用機会の多様化、ライフスタイルや価値観の変化などもあり、結婚してもそのような様式はとらず、共働きをする世帯が増えているのも事実。
そこでこの考え方について賛成か否かに関して、内閣府大臣官房政府広報室が2016年10月付で発表した男女共同参画社会に関する世論調査(※)の結果から確認していく。
調査対象母集団全体では40.5%の人がこの考えに賛意を示した。反対派は54.3%で、反対派が多数を占める形となった。
男女別では納得できる動きではあるが、男性の方が女性と比べて賛意が多い。女性に限れば反対派は6割近く。また男女ともに「どちらかといえば」で無い、強い意志を持った回答は反対派の方が多い。特に女性は2割以上が強い反意を有している。
これを男女それぞれ年齢階層別に見ると、男性は歳を経るほど賛成派が増加し、女性は50代まで賛成派が減り反対派が増え、60代以降で賛成派の増加・反対派の減少の動きが確認できる。
やはり設問内容が古い考えであるため、年長者には肯定する向きが強いものと考えられる。特に男性70代は賛成派が5割を超えており、強い賛成派も15.4%。他方、女性の50代に至るまでの反対派の増加傾向は、共働きの実情を認識している、さらには実体験をしているからだろう。
これを過去も含めて全8回分の調査結果の推移として見たのが次のグラフ。
長期的には賛成派の減少と反対派の増加が確認できる。共働きに関する他の調査結果からも明らかな通り、夫婦世帯において共働き比率が増加しているのが大きな要因だろう。2012年10月時点ではイレギュラーな動きが生じ、反対派と賛成派の勢いが逆転した流れを示しているが、これは多分にその前年に発生した東日本大震災の心理的影響が働いたものと考えられる。何らかのトラブル、特に災害が生じた際に、子供のそばに妻がいない状況を想定した上での変化と推測すれば道理は通る。
他の生活様式や価値観の変化と合わせ考えると、今後もこの動きは継続するものと思われる。今調査は不定期に数年おきに実施されるため、次回調査時期がいつになるかは不明だが、今後の調査動向も大いに気になるところだ。
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※男女共同参画社会に関する世論調査
数年に一度、不定期の形で実施されているもので、直近分は2016年8月25日から9月11日にかけて、日本国内に居住する18歳以上の日本国籍を有する者の中から層化2段無作為抽出法によって抽出された者を対象に、調査員による個別面接聴取法で行われた。有効回答数は3059人。男女比は1404人対1655人。年齢階層比は18-19歳60人・20代251人・30代395人・40代540人・50代466人・60代639人・70歳以上708人。