中学生から50代は携帯>>パソコンの時代…ネット目的でのパソコンやスマホなどの利用率
パソコンや携帯電話(従来型、スマートフォン双方)は現状ではほぼイコール「インターネット利用機器」。家庭用ゲーム機ですらインターネットへのアクセスが当たり前となりつつある。それでは実状として、それらの機器のインターネット端末としての利用率はいかなる状況なのだろうか。総務省が2016年8月に詳細値を発表した「通信利用動向調査」を基に、その実情を確認していく。
今回精査するのは、「モバイル系端末(スマートフォンは含むが、タブレット型端末は別途単独項目があるので含まない)」による「インターネットの利用率」。比較対象としてパソコン、さらに単独で「タブレット型端末」をカウントしている。
今件利用率はインターネットそのものを利用している・していない人を合わせた、調査対象母集団全員を対象にした、全体比であることに注意。例えば2015年末時点でパソコンにて6歳位以上全員は56.7%であることから、調査対象母集団全員の6割近く(インターネット利用者全体の、ではない)は、パソコンを使ってインターネットにアクセスしている計算になる。
パソコンのグラフを見ると、未成年者はやや低めで、成人に達すると50代まではほぼ一定率を維持し、それ以降は緩やかな下落を示す。子供のうちは学校や保護者のパソコンを利用させてもらっているケースが多く、大人になると自前で所有する以外に、就業先で利用するパターンが多くなる実情が想起される。定年に達する60代以降が減退していくのは、就業先が無くなるので、使う機会が無くなるため。
パソコン以外では「スマートフォンを含めた携帯電話の利用率」が圧倒的。そして携帯電話そのものの普及率と同じように、20代~30代が高率値のピークとなり、それ以降は漸減していく。
パソコン利用率とスマートフォン利用率とを比較すると、10代後半(中学生)から50代までは「携帯電話>>パソコン」との結果が出ている。6歳から12歳も実質的には同率。若年層から中堅層までは「インターネットといえば携帯電話(多分にスマホ)がメイン」との世代となっているのが実情ではある。また高齢層でもパソコンと携帯電話との差異はさほどない。この状況を鑑みるに、あと数年で高齢層でも両者の立ち位置が入れ替わり「インターネットへのアクセスは全年齢階層で、パソコンよりも携帯電話(スマホ)を用いての人の方が多い」時代がやってくるのかもしれない。
家庭用ゲーム機によるインターネットへのアクセスは、未成年者を中心に高い値を示している。特に6歳から12歳の世代では3割を超えている。そして家庭用ゲーム機には及ばないものの、タブレット型端末も同世代で3割近くと、年齢階層区分では30代から40代の値すら超えて最高値を示している。これは今件が所有率ではなくインターネットへのアクセス用の利用率であることから、保護者などが玩具として、あるいは学習機器として、自前の端末や世帯全体としての端末を子供に貸し与えているパターンが多分に該当するものと考えられる。タブレット型端末の利用実情を示すものとして、大いに注目したい。
やや余談になるが、今件取り上げた各項目の前年分、つまり2014年分における値との差異を算出し、グラフとして起こしたのが次の図。2015年分からはパソコンの値が一体化した(2014年では自宅と自宅外で仕切り分けされていた)ので、前年分は自宅でのパソコン利用の値との比較となる。
パソコンは純粋な比較とならないので参考値程度の精度だが、未成年者で減少、成人では上昇と、極端な動きを示している。2014年では全年齢階層で自宅でのパソコン利用率の方が自宅外のよりも高値を示していたので、ぶれは最小限に抑えられているはずだが、13~19歳で大きな減退が生じているのが気になるところ。厳密な比較ができる来年公開分の結果を待ちたいが、他の複数の調査結果で出ている「未成年者のパソコン離れ」的な動きの表れかもしれない。
パソコン以外ではいくつか興味ある動きが生じている。まず携帯電話では6~12歳と壮齢層の大きな上昇。後者は今調査の他項目でも見受けられたもので、スマートフォンの中堅層から高齢層への広がりを反映したものだろう。他方前者は小学生の間にもスマートフォンが普及しつつある表れかもしれない。
家庭用ゲーム機では20代と30代で増加する一方、中学生以上の未成年者では減退。現在の家庭用ゲーム機市場の実情が透けて見えてくるようで、大いに注目したい。
そしてタブレット型端末。80歳以上ではさすがに難しいものがあるが、6歳以上60代に至るまで、大よそ同じような動きを見せている。30代がやや落ちているのは、その分家庭用ゲーム機が伸びているからだろうか。70代ですら前年比で2.0%ポイントの増加。タブレット型端末によるインターネット利用が、他の端末と異なり、一様な年齢階層で同時に普及しつつあることを示している。
来年はいかなる動きを示すのか。特にパソコンは厳密な比較ができることもあり、大いに期待・注目したいところだ。
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