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スマホのみで5割、ケータイのみ1割…ケータイとスマホでネットはどれほどの人が利用しているのだろうか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 携帯電話はスマホが主力。ではその利用割合は

60代前半まではスマホ優勢

海外と比べれば随分と遅れたものの、日本でもようやく携帯電話の主流が従来型からスマートフォンへとシフトしつつある。スマートフォンに利用機種が移行されるもっとも大きな理由は、インターネットへのアクセス機能のケタ違いの向上ぶりにあるわけだが、それでは現時点において、携帯電話を用いたインターネット利用状況はどのようなパワーバランスにあるのだろうか。総務省が2016年8月に詳細を発表した「通信利用動向調査」を基に、その実情を確認していく。

次以降に示すのは、該当利用端末を「モバイル系端末(従来型携帯電話以外にスマートフォンを含み、タブレット型端末は含まない)」に限定した「インターネットの利用率」。また各値は全体比(未回答者除く)における値。例えば「全体の従来型携帯電話のみの値は11.9%」と出ているので、調査対象母集団全体(携帯電話保有者やインターネットの利用者限定では無い)の11.9%が、過去一年間においては従来型携帯電話のみでインターネットを利用した経験があることになる。

↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(年齢階層別)(2015年末)
↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(年齢階層別)(2015年末)

若年層におけるスマートフォンの浸透ぶりが目に留まる。13~19歳では従来型携帯電話と併用している人も合わせると78.4%と8割近くに至る。そして20代になると従来型携帯電話からの乗り換え(かつそのまま併用)をしている人も合わせ、9割を超える。従来型携帯電話のみの利用者は3%にも満たない。

30代以降は従来型携帯との併用も合わせ徐々にスマートフォンのネット利用者は減り、60代後半になると2割を切る。また、従来型・スマートフォンの利用率の転換点は60代の前半と後半。表現を変えれば、60代後半以降の「携帯電話によるインターネット」は「従来型携帯電話」経由メインであり「スマートフォン」メインでは無い。

年収600~800万円でほぼ天井な利用率

続いて所属世帯の年収別利用性向。

↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(所属世帯年収別)(2015年)
↑ モバイル系端末(従来型携帯(PHS等含む)・スマートフォン)でのインターネット利用状況(過去一年間)(所属世帯年収別)(2015年)

従来型携帯電話よりスマートフォンの方がランニングコストは大きい。昨今、スマートフォンに近い機能を持ち、従来型携帯電話に近い料金プランを活用できる「ガラホ」や、仮想移動体通信事業者(MVNO)によって提供されるSIMカードを白ロム端末やSIMロックフリー端末に用いてスマートフォンとして使用することでコスト軽減を図る「格安スマホ」に注目が集まっているのも、ランニングコストが主要因。低年収の方がやりくりが厳しくなるため、スマートフォンまで手が出せない状況が確認できる。

年収が600~800万円に達すると、スマートフォン「のみ」の所有率はさほど変化が無くなり、従来型携帯電話との併用が増え、これが全体的な利用率をわずかだが増加させる要因となる。もっとも、従来型携帯電話の利用率(併用者との合算)が高年収ほど高めに出るのは、高齢層ほど高年収で、同時に従来型携帯電話の利用率が高いのが一因。

ともあれ直近に限れば、世帯年収による携帯電話の利用率において、600万円以上はほぼ同率となる。600万円未満の世帯における低迷こそが、携帯電話経由での情報格差の問題、そして解消すべきポイントではある。

世間一般のイメージは「従来型携帯電話=古い、前世代」「スマートフォン=新しい、新世代」。企業の戦略もそれに従う形で、全面的にスマートフォンをプッシュしている。携帯電話事業者による季節ごとの新商品ラインアップは、そのほぼすべてがスマートフォンで占められている(従来型携帯電話の新作が登場しない場合すらある)。

しかし利用スタイルの上で、現在のスマートフォンのような高・多機能は必要とせず、その実装にかかるコストの負担は大きすぎるとの意見も少なくない。昨今ではスマートフォンと従来型携帯電話の中間的な立ち位置の「ガラホ」や「格安スマホ」がスマートフォンの代替的な立場として注目を集めている。特に後者は実質的にはスマートフォンと同じため、統計ではスマートフォンとしてカウントされることも多い。今後大きな伸びしろが期待できるのは、低コストを望む層に受け入れられやすい、「格安スマホ」とみてもよいかもしれない。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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