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世界各国におけるソーシャルメディアの利用実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多種多様なソーシャルメディア。利用実情は国によって大いに異なる

圧倒的Facebookの浸透力

ネットとスマホの普及浸透で一番恩恵を受け、また貢献をしたのがソーシャルメディア。そのソーシャルメディア自身も諸国によって利用性向の違いを見せる。その実情を総務省が2016年8月17日に公式ウェブ上で公開した、2016年版の「情報通信白書」の内容をもとに確認していく。

該当する調査の要項は2016年2月に日本、アメリカ合衆国、イギリス、ドイツ、韓国、中国に対してインターネット経由にて20代から60代までを対象として行われたもので、有効回答数は各国1000件。男女比、10歳区切りの年齢階層比はほぼ均等割り当て。今件該当部分はインターネットを用いたサービスに関する利用状況を尋ねていることから、インターネットへのアクセス機会率が低い高齢者、そして一部国家においては、その対象全体との間にぶれが生じている、具体的にはインターネットに有利に数字が動いている可能性がある(インターネットを利用していない人は回答に加われない)。その点を留意した上で見ていく必要がある。

次に示すのは複数回答形式による、主要ソーシャルメディアの利用状況。単純に「利用しているか否か」を尋ねており、頻度は問われていない。アカウントを有していてもほこりをかぶったような状態では、回答者は「利用している」との認識は無いと考えるのが道理であり、今件回答率がそのままアカウントの所有率につながるわけでは無い。

LINEなどのチャット系サービスはソーシャルメディアと分類されることもあるが、今回は別途仕切り分けし、別の機会に解説する。また中国国内で独自に展開されている、他サービスの類似サービスの類(例えば人人網や微博)も今回は取り扱わない。

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↑ ソーシャルメディアの利用状況(2016年、複数回答)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(2016年、複数回答)

国ごとに利用状況の違いが多分にあるが、大よそFacebookとYouTubeが主力の利用対象となっている。次いでTwitter、Google+と続き、その他のサービス利用者は少数派。今件はインターネット経由の調査であることを思い返せば、それぞれの国全体の利用率はもう少し下がるわけで、今グラフ上の少数派のサービスの利用者率は、全体においてほんのわずかでしかないことが分かる。

インターネットサービスの普及が盛んなアメリカ合衆国では、大よそ他の国よりも利用率が高く、値が飛びぬけているのが特徴。特にLinkedInやPinterestでは目立った伸び方をしている。他方InstagramやGoogle+、Twitterでは韓国も競っており、YouTubeはむしろ対象国中最大の普及率を見せている。

日本はといえば、Twitterでやや他国並みの値を計上しているが、他は押し並べて低め。元々誤差の範囲でしかない値だが、USTREAMで唯一トップの値を示している程度。他方、中国は日本同様、あるいは日本以下の低い値だが、これはチャット系サービスのうち、自国発のもの(微博(Weibo))や上記で触れている人人網や微博に傾注しているためと、多分に中国国内では上記サービスは接続が不可能、あるいは困難であるのが理由。

日本の年齢階層別の動向

続いて日本における、年齢階層別の利用状況を確認していく。

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↑ ソーシャルメディアの利用状況(2016年、複数回答)(日本)
↑ ソーシャルメディアの利用状況(2016年、複数回答)(日本)

日本のツイッター利用者の動向は色々と話題に登るが、少なくとも今調査の限りでは若年層ほど利用者が多く、歳が上になるにつれて減る傾向があると出ている。20代では過半数が利用していることになる。またFacebookも似たような状況だが、Twitterよりも年上になるに連れて下がる度合いが低く、30代以上はFacebook利用者の方が多くなる。

YouTubeも利用状況はFacebookとさほど変わらない。動画をアップロードするのではなく、視聴も利用に含まれるから、ハードルは低いのだろう。他方、写真投稿型として一時期大いに注目されたInstagramやPinterestは、少なくとも日本では少数派に留まっているようだ。それでもInstagramは20代では1/4近くが利用している。

今件はあくまでも回答者が「利用している」との認識に合致した値であり、アカウントを持っているものの数か月に一度しかアクセスをしていなくとも「利用している」と判断すれば、回答に該当していることに注意する必要がある。つまり、少なくともアカウント率は今件値以上に違いないが(アカウントを所有していても「使っていない」と判断する人もいる)、そのサービスの利用度合いを表すとまでは言い切れない。また、サービスの機能、スタイルにより、アクセス頻度も多分に変わってくるだろう。

他方、それぞれのサービスの利用状況をある程度反映していることにも違いは無い。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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