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老後の生活を楽しむための情報源、トップはテレビ番組

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 第二の人生、シニアライフ。楽しい時間を過ごすための情報源は

就業や子育てから解放され、様々な余裕を持ち、自由度がこれまでとは桁違いとなるシニアライフ。その時間を有効に使い、生活を楽しむための情報源として用いているのは何だろうか。大和ネクスト銀行が2015年12月に発表した調査結果「『2015年ランキングで見る』シニアライフに関する調査」(2015年11月5日から6日にかけてインターネット経由で50歳から79歳までの男女に実施。有効回答数は1000件。男女比、50代・60代・70代の年齢階層比はほぼ均等割り当て)から確認していく。

次に示すのは調査対象母集団のうち60代と70代、実質的にシニアと呼ばれる人に対し、60歳以降の生活、第二の人生ともシニアライフとも呼ばれている、退職後の生活の上で、楽しみを得るための情報源として何を用いているかを複数回答で尋ねた結果。今件がインターネット経由の調査であることから、同年代全体の回答状況と比べると、いくぶんインターネット関連の項目にはプラスの影響が生じていると見る必要がある。

↑ 60歳以降の生活を楽しむための情報源(60-79歳対象、上位陣、複数回答)
↑ 60歳以降の生活を楽しむための情報源(60-79歳対象、上位陣、複数回答)

インターネット経由の調査にも関わらず、トップは群を抜く形でテレビ番組。6割近い人が生活を楽しむための情報源はテレビ番組だ、と答えている。次いで新聞が5割近い同意率を示しており、高齢者におけるテレビや新聞の絶対的な権威・信頼感が改めて認識される。

続いて友人や知人のクチコミで1/3強。対人関係がそれなりに構築されている必要があるが、直接他人から見聞きする情報をきっかけに、あるいは頼り、生活に潤いを考える人は案外多い。もっとも、「新聞の折り込みチラシ」が上位に食い込んでいるところを見ると、多分に「生活を楽しむ」には「お値打ちの商品販売」が含まれることは容易に想像できる。クチコミもその少なからずが、近所のお店のお買い得品に係わる情報なのだろう。

インターネット関連の情報源のトップはポータルサイト。具体的にはYahoo!やgooなどが該当する。昨今のポータルサイトは単なる検索エンジンとしてだけでなく、各報道のニュースをはじめとした多様な情報を集約配信する、本当の意味での「インターネットで構築される情報世界」への窓口的な存在となりつつあるが、シニア層にとっては「多様な情報が一か所に集まる便利な場所」との認識が強いのだろう。高齢者が個々の小売店に足を運ぶより、何でもそろうスーパーやデパート、コンビニを選ぶのと同じである。

高齢者が良く聴くことで知られるラジオ番組は、テレビ番組と比べると随分と低めの値。今件は「生活を楽しむための情報源」であることから、あるいは「お役立ち」「時節を確認」「目新しい情報を取得する」など他の目的で多用しているのかもしれない。

これを男女別に見ると、男女それぞれのシニアライフの違いが透けて見えてくる。

↑ 60歳以降の生活を楽しむための情報源(60~79歳対象、上位陣、複数回答)(男女別)
↑ 60歳以降の生活を楽しむための情報源(60~79歳対象、上位陣、複数回答)(男女別)

テレビや新聞などの従来型メディアの圧倒的な頼られ方は男女共通。ただし友人・知人のクチコミは女性の方が極めて高く、新聞ですら追い抜いている。シニア層でも男性より女性の方が対人関係においては積極的な行動を取ることが知られているが、クチコミにウェイトが置かれているのもそれが一因なのだろう(あるいは逆で、クチコミが好きで重要視しているからこそ、対人関係の積極さがあるのかもしれない)。実際、今件上位陣の選択肢では、女性回答率が男性回答率を上回っているのは、直接の対人系クチコミのみである。

他の選択肢は大よそ男性の方が高い回答率。元々今件がインターネット経由による調査なのも一因だが、特にインターネットに絡んだ選択肢で男女差が大きい。見方を変えれば、同じ「インターネットを利用するシニア層」でも、男性は女性と比べて「生活を楽しむ情報」の取得において、ネットへの傾注度が高いと見ることができよう。男女における老後の生活様式の違いが表れているようだ。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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