産婦人科医と小児科医、都道府県別の「密度」を探る
少子化や医療環境整備の問題で特に注目される産婦人科や小児科。それらに従事する医師の対人口比を探る。これら診療科の医師の過不足度合いを、厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」の最新版から確認していく。
次に示すのは、産婦人科・産科及び小児科について、その資格を有する主たる医師数(その診療科のみの医師と、複数の診療科に従事しているが主には対象となる診療科に従事している)を、それぞれの都道府県別で、産婦人科・産科は「15~49歳女性人口10万人比で」・小児科は「15歳未満人口10万人比で」算出したのが次のグラフ。
例えば産婦人科・産科では東京都は48.9人。これは産婦人科を利用する可能性が高い15~49歳女性10万人あたり、該当医師は48.9人いることになる。逆算すれば該当人口2045人あたり産婦人科医師が1人。
該当人口数比率で産婦人科・産科医が一番多い都道府県は長崎県。次いで徳島県、島根県、和歌山県が続く。これらの地域では単純計算ではあるが、産婦人科が必要になった際には、比較的余裕を持って受診できる可能性が高いことになる。少ないのは埼玉県で28.4人となり、2倍強の開きがある。とはいえ、その長崎県でも人数は57.0人。産婦人科医1人あたりで逆算すると1754人にもなる。
小児科は東京都がもっとも多く153.4人、次いで鳥取の152.0人。一番少ないのは茨城県の75.3人で次いで埼玉県の77.1人。鳥取県は産婦人科・産科でも50人を超え上位にあり、埼玉県は産婦人科・産科では一番少ない都道府県。多様な事情がありそうな雰囲気ではある。
今件はあくまでも単純な人口比率で、実際には人口の過密感や交通の便宜性、医療そのものの質など、多様な要素を加味した上で「医療の密度」を考察する必要がある。また、該当する対象の人すべてが一度に、同時に発症や妊娠状況となり、対象診療科への診察を必要とする場面がくるはずもない。一方で概要的な指標としては、十分に役立つ値にも違いない。
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