全国平均で敷金1.28か月・礼金0.98か月…賃貸住宅の敷金や礼金、入居条件交渉の現状を探る
全国平均で敷金1.28か月分、礼金0.98か月分
賃貸住宅を借り受ける際に必要となる敷金や礼金。半ば以上慣習によるもので、新たに借り受ける際に必要となり、月額家賃の何か月分と提示されることが多い。それらの相場の現状を、賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が発表した、最新の「賃貸住宅景況感調査日管協短観」(2015年度上期(2015年4月から2015年9月)から探る。
まずは礼金・敷金の平均動向。最初に用語の再確認。「礼金」は言葉通り賃貸契約が新規に結ばれた時に、賃貸住宅業者に支払われる「お礼金」のこと。一方「敷金」は「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」との概念によるもの。その賃貸住宅から退去する際に、次の借主が支障なく使えるよう、原状復帰のために使われるお金でもある。通常使用における損耗は、自然に生じるものとして、その責は利用者には無いとするのが一般的。
さて今回の計測期間では、全国平均は「礼金」は家賃の0.98か月分、敷金は1.28か月分との結果が出ている。
関西圏では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として返還しない仕組み。保証金そのものは家賃の半年から8か月分とされ、これには礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが原則)制度が商習慣として根付いて「いた」(過去形)。その名残もあり、礼金の額が他地域と比べてかなり高い結果が出ている。
前半年期との比較をすると、首都圏で大きな動きは無いが、関西圏で礼金・敷金共に減少する動きを示している。住宅の供給過多・借り手側有利の状況にシフトしている可能性はある。
今件値は業者側の調査に基づいた結果。地域、周辺環境の違いも多分に影響するが、この値を覚えておけば、無駄な探索をしたり、怪しげな物件に惑わされる心配はずいぶんと減る。
入居時の条件交渉状況
各賃貸住宅管理会社が管理している賃貸物件において、敷金や礼金、そして賃料、さらには設備の設置(エアコンや洗濯機など)に関して、居住希望者との間における交渉度合はどのような変化を示しているのか。借り手・貸し手の力関係を推し量れるデータでもあるが、それぞれについてその移り変わり(前年同期比)を尋ねたところ、全国では回答企業の7割近くが入居の際に「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と返答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も6割近くに登っている。
地域別では賃料、礼金・敷金共に首都圏より関西圏の方が交渉増加傾向が強い。金銭関連の話は関西圏が他地域より敏感との話は良く知られることではあるが、これが賃貸住宅の折衝でも反映されているようだ。特に賃料では関西圏における「減少」回答者がゼロとなっている。
また設備設置交渉傾向は首都圏・関西圏「以外」のエリアが強い。「以外」エリアでは増加したとの意見が35.6%にも達している。交通機関や商店、公共施設などの周辺環境が首都圏・関西圏と比べれば物足りない面があることから、その分内部設備の充実を欲しているものと考えられる。
ともあれ、全国、首都圏・関西圏共に、賃料・礼金など金銭面において、6割から7割程度が「交渉増加」と回答している結果が出ている。ダメ元との点もあるものと思われるが、「賃貸住宅は入居希望者が主導権を握る借り手市場」との認識に違いはないのだろう。
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