20代世帯では1割強のみ・固定電話の保有状況を確認する
全体では8割を切る状態に
携帯電話の高性能化と普及が進むに連れ、少なくとも一般世帯において電話の利用スタイルは世帯単位から個人単位へと変わり、固定電話の必要性はこれまでに無いほど減少している。総務省が2015年7月に発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に、日本における世帯ベースでの固定電話の保有状況を確認する。
今調査母体では世帯全体の普及率は76.2%。前年2013年末時点の値79.7%からは3.5%ポイント減少している。全世帯のうち1/4近くは「固定電話なし」。
特に20代から30代の若年層世帯主での世帯において、低い比率なのが目に留まる。無論これらの層で「電話離れ」が進んでいるのではなく、「固定電話離れ」が加速しているだけであることに注意が必要。携帯電話があれば、固定電話の必要性は低くなる。さらに個人主義・個別主義が浸透する昨今では、世帯ベースの電話連絡先の必然性が低くなっている。そして世帯人数の減少、一人身世帯の増加もそれに拍車をかけている。
この流れはアメリカでも同様。アメリカ疾病対策予防センター(The U.S. Centers for Disease Control and Prevention、CDC)の公開データによると、2014年下半期時点で固定電話が無く携帯電話のみの世帯は、全体の44.1%にまで達しているとの結果が出ている。
そう遠くないうちに、日本も同じ状況になることだろう。もっともその時には、アメリカはさらに固定電話離れが進んでいることになる。
年収や世帯構成別では?
固定電話の保有状況を世帯構成と世帯年収別に見たのが次のグラフ。
高齢者が居る世帯では高く、若年層のみで構成された世帯は低い値を示している。また、世帯年収別では高年収ほど高い傾向を示しているが、これは単純に「高年収ほど固定電話が必要」ではなく、「高年収世帯は世帯主の年齢が高め」「世帯主の年齢が高い世帯ほど、固定電話の需要が大きい」「よって高年収世帯ほど固定電話が良く使われている」といった、三段論法的な事由によるものと考えられる(2000万円以上でやや落ちているのは、対象世帯数の数(今回年は123世帯)が少ないことによる統計上のぶれの可能性が高い)。
スマートフォンを含めた携帯電話も、使わずにホルダーに固定するなり、充電している限りにおいては、固定電話とほぼ同じ利用スタイルとなる。その姿を見るに、携帯電話を多用しているのなら、固定電話は特に要らないのではないかとする考えが、誰もが頭に浮かぶはず。
固定電話が無くなることはないだろうが、普及率の低下、携帯電話への置き換えの動きは、今後さらに進むことは間違いあるまい。
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