核家族と一人身世帯が増加中…種類別世帯数の推移を探る

↑ 家族構成は多種多様。昨今では核家族が増えているとの話だが

世帯数は増加中だが中身は核家族と一人身世帯

晩婚化や高齢化、社会認識の変化に伴い、一人身世帯や核家族が増加中との話をよく見聞きする。現状では一人身世帯はどれほど存在するのか、核家族はどのくらいか、その現状を厚生労働省が2015年7月に発表した「国民生活基礎調査の概況」から確認していく。

次以降のグラフで使われている「単独世帯」は「単身世帯」「シングル世帯」「一人身世帯」を意味する。つまり世帯構成員が世帯主本人だけ、独りだけの世帯。また「核家族」とは「夫婦のみ」「夫婦+未婚の子供」「父親か母親のどちらか一方+未婚の子供」からなる世帯を意味する。要は3世代世帯ではない、核のみの世帯(「単独世帯」は含まれないことに注意)。

まずは主要項目別に区分した世帯数を積み上げ、世帯数全体の推移も把握できるグラフを作成する。

↑ 種類別世帯数推移(万世帯、1968~2014年、積上げグラフ)
↑ 種類別世帯数推移(万世帯、1968~2014年、積上げグラフ)

世帯総数は増加傾向にある。ただしよくその動き・中身を見ると、グラフ上では緑の部分、つまり3世代世帯(祖父母・夫婦・子供)は減少の動きを示している。また、核家族世帯を「核家族総数」と表記しているのは、上記の説明の通り「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子供」「片方の親と未婚の子供」などのパターンがあるため、それをすべて合算したからに他ならない。

2011年においては東日本大地震・震災の影響を受け、被災三県(岩手県・宮城県・福島県)の値が除外されており、阪神・淡路大震災で兵庫県分がカウント外となった1995年同様に、イレギュラーな動きを示している。2012年も福島県のみ除外されており、2010年分と比べると伸びが鈍い。2013年以降はそれら特殊事情も無くなったため、伸び方はこれまで通りのものとなっている。

今世紀に入ってからのみの動きを見ても、単独世帯は260万世帯強・核家族は300万世帯ほど増え、三世代世帯は100万世帯以上減っている。世帯構造の変化がはっきりと分かる。

比率構成比の変化を見ると

これを全世帯に占める、各種世帯の比率推移で構成したのが次のグラフ。

↑ 全世帯数に占める世帯種類別構成比推移(1968年~2014年)
↑ 全世帯数に占める世帯種類別構成比推移(1968年~2014年)

50年近くの間に3世代家族の比率は10%ポイント以上減少し、その分単独世帯や核家族世帯が増加している。構成比で見ると核家族世帯よりも単独世帯の増加率が大きく、未婚の人が増加しているようすが把握できる。

また、1990年前後までは比率において「単独世帯…横ばい、むしろ減少」「核家族世帯…増加」だったのが、それ以降は「単独世帯…漸増」「核家族世帯…横ばい」となり、1990年を境に、世帯構成のトレンドが核家族から単独世帯にシフトする様子が確認できる。晩婚化、未婚化に加え、高齢者の一人身世帯の増加といった、いわば「先進国病」的な社会構造上の変化が、このタイミングで顕著化してきたと考えれば、道理は通る。ちなみに日本の高度経済成長が終わったのも、ほぼこの時期である。

最後に、世帯数変移を単純に折れ線グラフにした図を作成しておく。

↑ 種類別世帯数推移(万世帯、1968年~2014年)(折れ線グラフ)
↑ 種類別世帯数推移(万世帯、1968年~2014年)(折れ線グラフ)

全体に占める比率では減少を続ける3世代世帯だが、実のところ絶対数は急激な減り方はしていない(漸減レベル)。核家族世帯と単独世帯の増加で総世帯数が増加の一途をたどっているため、相対的に比率上において減少著しいように見えるだけの話である。しかし一方で、確実にその数を減らしていることも間違いない。

核家族の増加は地域コミュニティの変化、子育てに関する問題を顕著化する。祖父母に育児の一部を任せられない夫婦の時間は制約され、婚姻世帯における共働きの加速化や待機児童問題へも連動しうる。また単独世帯の増加は結婚・少子化問題、そして世帯ベースでの貧困問題や健康事案に係わる安全性にも影響を与える。

それだけに、これらの値の変移は多様な社会情勢の動向とあわせ、注意深く見守り続けねばならない。そしてその動きが発しているシグナルを正しく把握し、対処法を考察し、断固たる手を打つことが求められている。

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