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子供に一番人気のキャラは「妖怪ウォッチ」

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 今年のトップは話題の妖怪ウォッチ

アンパンマンから妖怪ウォッチへ、トップをバトンタッチ

子供が好むアニメや漫画、ゲームのキャラクタは、その時代の流行りすたりに大きな影響を受け、またその人気ぶりは多方面に影響を与えうる。今、子供達の間ではどのようなキャラクターが注目を集めているのだろうか。バンダイが毎年行っている子供向け調査「お子さまの好きなキャラクターに関する意識調査」(0歳~12歳の子供を持つ保護者に対してインターネットで実施。子供の意見を反映できる状況で回答、2015年は800人)の結果から確認していく。

子供が好きなキャラクターはテレビ視聴率や雑誌の購買動向はもちろん、食玩、おもちゃ、文房具、ゲームソフトなど関連商品の展開の動向を探る上で、非常に重要な情報である。調査対象母集団全体における、もっとも好きなキャラクター(シリーズ単位、以下同)の人気投票の結果が次のグラフ。現在でも「妖怪ウォッチ」の勢いが衰えていない実情を、改めて認識できる。

↑ もっとも好きなキャラクター(男女総合)(2015年)
↑ もっとも好きなキャラクター(男女総合)(2015年)

2002年の調査結果以来13年連続でトップだった「アンパンマン」を抜き、2015年ではじめて「妖怪ウォッチ」が最上位についた。人気の理由は「色々な妖怪が出てきて楽しい」「妖怪が個性豊か」「キャラクターが多様」とのことで、バラエティに富んだキャラクター展開が要であると分析されている。またゲームやアニメ、メダルやカード、さらには歌や踊りまで合わせ、多方面でのメディア展開が功を奏しているとの感想も確認できる。

今年は第2位に甘んじることになった「それいけ!アンパンマン」だが、同様の様式で行われた前年の投票率11.9%を上回る値を計上しており、安定的な人気を得ている。

第3位は「アナと雪の女王」。日本では2014年3月から公開が始まったディズニー映画だが、同社作品では初となる二人のヒロインが織りなす真実の愛の描写、ミュージカル的な演出、特に劇中楽曲の「レット・イット・ゴー」は女性を中心に多くの人に受け入れられた。昨今では落ち着きを見せつつあるが、今なお高い人気を誇っていることが分かる。

男女、年齢別の違いと共通点

これを男女別に、上位陣を確認したのが次のグラフ。

↑ もっとも好きなキャラクター(男女別(2015年))
↑ もっとも好きなキャラクター(男女別(2015年))

「妖怪ウォッチ」は男女ともにトップに位置しているが、特に男子の人気が群を抜いている。一方「それいけ!アンパンマン」は男女ともに安定した人気を確保しているのが分かる。第3位以降は男女の趣向の違いが大きく出ており、男子はカッコイイ系、女子はカワイイ系・あこがれ系のものが高い人気を集めているのが再確認できる。

さらに世代別に区分したのが次以降のグラフ。

↑ もっとも好きなキャラクター(2015年)(男子)
↑ もっとも好きなキャラクター(2015年)(男子)

「アンパンマン」は幼少時には絶大な人気を誇るが、少し歳を経るとバトル・アクション要素の強いものが注目を集める。そして小学校へ入学して不特定多数の人と接触して友達を作る機会が一挙に増えると、共通の話の素材として利用しやすい、多数キャラクタが登場する収集もの、ゲームとの連動性の高い「妖怪ウォッチ」「ポケットモンスター」や、漫画やテレビでお馴染みの「ドラえもん」などが上位を占めるようになる。子供の理解力、周辺環境の変化が、少なからず好きなキャラクターの変遷にも影響している。「ドラゴンボールシリーズ」が顔を見せているのは、先日上映を開始した映画の影響もあるようだ。

また「妖怪ウォッチ」は3歳から5歳辺りから注目を集め始め、6歳から8歳が特に興味関心を示しており、9歳以降になると熱が少しさめた形となる。同様の要素を持つ「ポケットモンスター」は値そのものこそ低いものの、6歳以降は安定した人気ぶりを維持しているのが対象的。

次いで女子。男子とは様相を一変する。

↑ もっとも好きなキャラクター(2015年)(女子)
↑ もっとも好きなキャラクター(2015年)(女子)

幼少時の「アンパンマン」の人気は男子と変わらない。この男女変わらずの人気ぶりが、2014年まで毎年トップの座を維持し、今年も安定した上位ぶりを示した原動力の一つであることは言うまでもない。

一方3歳以降になるとアイドル系ともいえる「プリキュア」「アイカツ!」が上位に顔を見せる。また、今回ランキングで女子勢における目玉となった「アナと雪の女王」が早くも3歳から5歳の時点で第2位に入り、以降歳を経ても上位に位置し続けていることから、幅広い年齢層に受け入れられていることが分かる。

もっとも、幅広いといえば「妖怪ウォッチ」も同様。男子ほど次点との差は無いものの、3歳から5歳で上位入り、6歳以降はトップに居続けており、今回年では総合で「アンパンマン」を大きく引き離してトップについた理由が改めて把握できる。

今件はあくまでも各世代のトップ3に限られるが、「妖怪ウォッチ」の男女を問わず3歳以降からの圧倒的な支持、女子における「アナと雪の女王」の安定的な人気ぶり、女の子におけるアイドル系キャラクターの人気動向がある程度つかみ取れる、興味深い内容ではある(「アナと雪の女王」も、「あこがれの女性」との視点なら、アイドル系と見ることもできるかもしれない)。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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