学生、20代、そして60代…世代間のメディアへの信頼度の違い
世代間で差が生じるメディアへの信頼度
物事の是非を考える際には、多くのメディアを情報源として活用する。その情報源の信頼度は世代や日常環境によって大きく異なる傾向がある。その実情を探るため、総務省が2015年5月に情報通信政策研究所の調査結果として発表した「平成26年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の公開値をもとに、学生、20代、60代におけるメディアへの信頼度を確認する。
次に示す信頼度は高い方が信頼されている、低い方が信頼されていない、1.50が信頼されている・されていないの境目となる。ただし信頼度の算出には「そのメディアを利用している人」が前提になるため、「信頼に足りないので該当メディアを使っていない人」も算出からは除外されることから、実際には信頼度は計測値よりもいくぶん低い値となることが推定される。
抽出する世代は、未成年者を多分に含む、そしてある意味特殊な生活環境に置かれている学生・生徒、若年社会人として20代、そして高齢層として60代。それぞれ、政治・経済問題(国内)、社会問題(国内)、海外ニュース、原子力の安全性、東アジアの外交問題の各ジャンルに関し、代表的なメディアとしてテレビ、新聞、インターネットニュースサイト、ソーシャルメディア、ブログやその他サイトを挙げ、それぞれの信頼度を算出した。
年齢的には近く、被っている部分もある(学生・生徒は13歳~20代前半)ことから、学生と20代は近しい動きを示している。新聞をもっとも信頼し、次いでテレビ、インターネットのニュースサイトが続き、ソーシャルメディアやブログはあまり信頼していない。ただしテレビや新聞、ニュースサイトへの信頼度は学生よりも20代の方が低めで、ブログなどは高めに出ている。一般論レベルの話ではあるが、社会人になるとメディアに対する信頼度のウェイトが変化しているようすがうかがえる。
一方60代では大きな相対関係・順位に差は無いものの、ソーシャルメディアやブログの値が低くなり、大よそテレビや新聞の値が高い値を示す。またインターネットのニュースサイトも高くなっているが、これは多分にテレビや新聞などの4マスの企業体による運営サイトをイメージしているものと考えられる。若年層と比較すると、物理メディアとインターネットメディア(ニュースサイトをのぞく)との間の信頼性の格差が開いているようだ。
使っていない人は!?
今件信頼度の算出には「利用していない人」は除外されている。信頼度とは別に、元々使っていない人も多分にいるのだろうが、同時に信頼ならないので利用していない人も少なからず居ることが考えられる。そこでそれぞれのジャンルに関して、該当メディアを情報源として使っていない人の割合を抽出したのが次のグラフ。
信頼度の観点では類似傾向のある学生と20代も、情報源としてのメディアの利用度合いでは大きな違いを見せている。学生は使っていないメディアが多めで、特に新聞やインターネットニュースサイトは20代と比べて利用している人の割合が小さい。他方ソーシャルメディアは20代と変わらない、ジャンルによってはむしろより多くの人が使っているものもあり、ソーシャルメディアを多用する学生諸氏が、ニュースの情報源としてもソーシャルメディアを積極的に活用している様子がうかがえる。
他方、高齢層は若年層とは大きな違いを見せる。テレビや新聞のような従来型の4マスはほとんどの人が情報源として用いているが、インターネット系は大よそ利用そのものをしていない。それでもインターネットニュースサイトは4割近くの人が利用しているものの、ソーシャルメディアやブログなどは2割にも届かない。そのメディアを使えるツール自身を有していない、持っていてもアクセスする気にはならない人が多分にいるとはいえ、ここまで若年層と大きな差が生じているのでは、メディアを通して見える社会の有りようが違って見えるのも不思議ではあるまい。
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