スマホは15%・従来型は6割超…アフリカの携帯電話事情
固定をショートカットして携帯が普及中のアフリカ諸国
アフリカ諸国では急速に携帯電話の普及が進み、コミュニケーションのスタイルも大きく変わりつつある。その実情をアメリカの調査機関Pew Research Centerが2015年4月付で発表した、調査報告書「Cell Phones in Africa: Communication Lifeline」から確認していく。
まず最初に示すのは、対象国における携帯電話所有率。従来型携帯電話とスマートフォンの双方を含む。国によって調査が行われた年がまちまちなため、折れ線グラフはややいびつな形となっているが、大よそ上昇一方の動きを示している。2014年ではウガンダが65%、タンザニアが73%だが、他はすべて8割超え。
内閣府の消費動向調査によると、2015年3月末時点で日本の携帯電話(従来型、スマートフォン双方合わせて)は世帯ベースで94.4%。アフリカ諸国の所有率はほとんどそん色ない状況。
一方、固定電話の普及率はどの国も1割を切っている。
先進諸国の多くではまず固定電話がインフラとして普及し、その後携帯電話が開発普及浸透しはじめ、固定電話の必要性が減り、漸次普及率が減退する。ところが新興国では固定電話が普及する前に携帯電話が登場普及し始め、固定電話普及のステップを省略し、最初から携帯電話の普及が進み、固定電話は足踏み状態となる事例も少なくない。
アフリカ諸国でも多くはそのパターンで、固定電話の普及率は押し並べて低い。参考事例としてアメリカ合衆国の数字も併記しているが、日本に比べればかなり低めの値であるにも関わらず(日本では世帯ベースで約8割)、飛びぬけて高い値に見えてしまう。
「携帯電話」の中身は!?
6~8割の普及率を占める携帯電話。その中身を確認したのが次のグラフ。どの国でも従来型携帯電話の所有率は6割台を維持し、スマートフォンの所有率の大小が全体の携帯電話所有率を左右する形となっている。
従来型携帯電話の所有率の高さは、これらの国でSMS(ショートメッセージサービス)の利用率が8割という高値を示す裏付けにもなる。自分はもちろん相手も所有していなければ使えない、スマートフォンを介したコミュニケーションツール(例えばソーシャルメディアはスマートフォンの方が従来型携帯電話よりはるかに使いやすい)よりは、従来型携帯電話でも十分以上に使えるSMSの方が便宜性が高いということ。
今回調査対象国では最大の携帯電話所有率を見せる南アフリカは、スマートフォン所有率が34%と1/3を超えている。次いでナイジェリアが27%、セネガルとケニアが15%、ガーナが14%。ウガンダは従来型携帯電話の所有率もやや低めで、結果として1/3ほどが携帯電話の所有そのものをしていない形になる。
今後さらにアフリカでも携帯電話の普及が進み、またスマートフォンへのシフトが進行した場合、多数の人口を抱えるアフリカ諸国のインターネット界隈への影響力は、間違いなく増加するに違いない。
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