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学校への持ち込み禁止・所有自体禁止…保護者が願う小中学生への携帯電話規制動向

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 「携帯はまだ早い」保護者の意志は……!?

携帯電話、特にスマートフォンの魅惑にとらわれる子供が増えている事から、子供、特に小中学生に対し、携帯の学校への持ち込みや所有そのものの禁止を願う大人も少なくない。その実情を内閣府の定点観察的な調査「青少年のインターネット利用環境実態調査」の最新版(今件項目の保護者分は2014年11月から12月に、満10歳から満17歳までの青少年の同居保護者5000人に対し、調査員による訪問配布訪問回収法で行われた)をはじめとした、経年調査結果から探っていく。

今件項目は小中高校生を子供に持つ保護者を対象にしたもので、大人全体への調査結果ではないことに注意をする必要がある。その調査対象母集団に対し、「小中学生は学校に携帯電話(従来型携帯電話やスマートフォン)を持ち込むことを禁止べき」「小中学生へは携帯電話の保有を禁止すべき」との意見について、同意するか否かを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(2014年、一部、保護者回答、複数回答)
↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(2014年、一部、保護者回答、複数回答)

全体では「持ち込み禁止」は28.5%、「保有禁止」は15.5%が同意。寛容と見るか厳しいと見るかは微妙だが、小中学校への携帯電話の持ち込みについて7割は「否定的ではない」ことになる。ただし肯定か意見留保かは別の話。

子供の学校種類別では小さい子供を持つ保護者ほど規制を望む声が強く、大きくなるほど少数派になる。回答者の子供が通う学校種類に対してのみではなく、「各家庭で小中学生には携帯電話を持たせないようにする」「小学校への携帯電話の持ち込みを禁止する」と一般論的に尋ねているが、自分の子供が大きくなるに連れて、子供の携帯電話保有に関しては甘めに見るように心情が変化していく。あるいは自分の子供の実態を知っており、経験則として「問題無いだろう」との判断で答えている部分もあろう。

この動きを時系列で見たのが次のグラフ。昔ほど規制を求める声が強く、最近になるに連れて規制には賛同できない人が増えている。

↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(一部、保護者回答、複数回答)
↑ 子供のインターネット利用に必要な取り組み(一部、保護者回答、複数回答)

2009年時点では4割強が「持ち込み禁止」、1/4以上が「保有禁止」に賛同していたが、2014年ではそれぞれ3割足らず、1/6程度にまで減少している。周囲環境の変化(実使用者の増加、啓蒙の強化など)に加え、保護者自身も携帯電話を利用している事例が増え、安心感を覚えているのかもしれない(人は概して自分にとって未知なるものを恐れ、他人には薦めない。自分が知っていれば余程のものでない限り、安心だという錯覚に陥りやすい)。

「持ち込み禁止」は減少率がゆるやかだが、「保有禁止」は確実に減りつつある。小中学生の携帯電話、特にスマートフォンの所有率が上昇傾向を継続しているのも、保護者側が保有に対して寛容になりつつあるのが一因といえよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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