電子版の新聞を取っている人の割合は何%だろうか
デジタルメディアの浸透に伴い、新聞もまた電子版が登場し、各社ともセールスに励んでいる。現状ではどれほどの普及率を示しているのだろうか。財団法人新聞通信調査会が発表したメディアに関する全国世論調査から確認していく。
今調査によれば調査対象母集団(18歳以上の男女5000人に対し、専門調査員による訪問留置法。有効回答数は3270人)のうち、月ぎめで新聞を契約している人は78.0%。その人たちにおいては全国紙は53.9%、県紙・地方紙は35.0%が購読しているとの結果が出ている。
一方で、インターネット経由で購読できる「電子新聞」の購読状況を尋ねた結果が次のグラフ。全国紙を月ぎめで購読している人(調査対象母集団全体比では78.0%×53.9%=42.0%)の人に、どのようなスタイルの全国紙かを聞いたものだが、圧倒的に紙媒体の新聞のみの購読者で占められており、電子新聞の購読者は0.7%+1.2%=1.9%しかいない。調査対象母集団全体比ではおよそ0.8%との試算結果が出る。
県紙・地方紙の有料デジタル版を購入している人もいるには違いないが、全国紙の値を覆すほどのものではないだろう(もっとも、地方紙でもデジタル化は急速に進んでいる。今後財団法人新聞通信調査会側でも現状を踏まえ、リサーチ対象を拡大していくに違いない)。
料金体系の巧みさもあり、日本国内でもっとも電子版の浸透が進んでいるであろう日経新聞の現状を確認すると、
・電子版有料会員数…36万3492
うち朝刊と電子版の併読…17万6388
うち電子版単体購読…18万7104
※2014年7月1日時点
との数字が確認できる。ちなみに紙媒体としての朝刊販売数は277万1025、全体購読数(電子版と紙媒体の朝刊双方を購入している重複を除外した、朝刊+有料電子版)は295万8129。購読者全体のおよそ6%が電子版単独の購読者との試算が可能となる。財団法人新聞通信調査会の調査結果と比べ、いくぶん電子版の比率が高いのは、やはり必要性や料金体系の仕組みによるところが大きい。
とはいえ、電子新聞の「売上」対象となる購読者がまだ少数派であることに違いは無い。メディアを取り巻く環境の変化を見る限りでは、新聞から取得できる情報を求めている人のデジタルへのシフトはさらに進むことは容易に想像できるが、電子新聞の利用状況は今のところスタートを切ったばかりのレベルでしかない。
メディアの価値観における変動の荒波を乗り越え、新時代の担い手として新聞が支持を得続けることが出来るか否か。努力と検証、そして決断が求められている。その選択の正しさは、電子新聞版の部数にも反映されることだろう。
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