賃貸住宅の敷金や礼金などの現状相場はどれ位だろうか(2014年)
全国平均で敷金は1.3か月分、礼金は1.1か月分
賃貸住宅を契約する時に必要となる敷金や礼金。その相場は幾らぐらいなのだろうか。賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」が約半年の間隔で定期的に更新・公開している、協会員を対象としたアンケート調査結果「賃貸住宅景況感調査日管協短観」の最新版(2014年4月から2014年9月)から、その現状を確認する。
まず敷金と礼金そのものだが、敷金とは「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」との概念によるもの。その賃貸住宅から引越しをする際に、次の借主が支障なく使えるよう、原状復帰のために使われるお金でもある。ただし通常使用において生じた損耗は、自然に生じるものとして、その責任は利用者には無いとするのが一般的。一方で礼金は純粋な賃貸住宅業者へのお礼金。
直近の調査結果では、全国平均としては「礼金」は家賃の1.05か月分、敷金は1.30か月分との結果が出ている。
関西圏では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として返還しない仕組み。保証金そのものは家賃の半年から8か月分とされ、これには礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが原則)制度が商習慣として根付いて「いた」(過去形であることに注意)。その名残もあり、礼金の額が他地域と比べて高い結果が出ている。
入居の際の条件交渉の変化
敷金礼金と共に、賃貸住宅の契約時に借り手と貸し手側の間で行われるのが、条件交渉。この交渉状況を業者側からの立場で見た結果が次のグラフ。各種条件について交渉の度合い、つまり借り手側の「条件を良くしてほしい」との要求が増えたか否かを、前年同期比で尋ねたもの。
全国では回答企業の6割強が入居の際に「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と返答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も6割に達している。
地域別では賃料、礼金・敷金共に関西圏の方が交渉増加傾向が強い。金銭関連の話は関西圏が他地域より敏感との話は良く知られているが、これが賃貸住宅の折衝でも反映されている。
また設備設置交渉傾向は首都圏・関西圏「以外」のエリアが強い。「以外」エリアでは増加したとの意見が33.3%にも達している。交通機関や商店、公共施設などの周辺環境が首都圏・関西圏と比べれば物足りない面があることから、その分内部設備の充実を欲しているものと考えられる。
いずれにせよ、全国、首都圏・関西圏共に、賃料・礼金など金銭面において、6割から7割が「交渉増加」と回答している結果が出ている。ダメ元との点もあるのだろうが、「賃貸住宅は入居希望者が主導権を握る借り手市場」との状況に、大きな変化はないと考えて良いだろう。
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