東京への一極集中の動き、シニア層ほど懸念表明
ほぼ半数は「東京への一極集中化は望ましくない」
高齢化に伴う行動範囲の短縮、人口減少による利用者の減退でコストパフォーマンスが低迷し各機関が閉鎖、縮小化するのに合わせ、人口や各種機能の都市部への集中化、とりわけ東京への一極化が進んでいる。このような状況を一般市民はどのような考えで見つめているのだろうか。内閣府大臣官房政府広報室が2014年10月に発表した「日本の将来像に関する世論調査の結果」を元に、確認していく。
次に示すのは東京への一極集中化が進む現状に対する所感。ほぼ半数は「現状のような集中度合いですら望ましくない」と思っていることが明らかになった。
現状の集中度合いですら望ましくなく、より分散した状況を望む意見が半分。次いで「各人が決めるべき」で3割。他人や行政による指図では無く、個人個人の考えで居住地の決定はなされるべきで、集中や分散はその結果によるものだとし、個人の意図を尊重するというもの。一方、現状程度の集中が望ましいとする意見は16%程度、さらなる集中が望ましいとの意見は2%強でしかない。
男女の差異はほとんどない。あえていえば各人の自由に任せるとの意見がやや多く、何らかの方向性を示す意見が少なめ。
歳を重ねると集中化をより嫌う
属性別に仕切り直して状況を確認したのが次以降のグラフ。まず回答者の世代別。「(現状の集中度ですら)望ましくない」とする意見は、20代では1/3強に留まっているのに対し、60代を超えると過半数に達する結果が出ている。
高齢者ほど集中化や自由放任を嫌い、現状よりも各種機能や人口の分散を望んでいる。若年層では逆に集中化を望んでいる……のでは無く、現状維持、さらには各人の自由に任せるべきで、何らかの規制などによる誘導をすべきではないとする意見が強くなる。特に20代では「各人が決めるべき」の選択肢への回答率がもっとも高い。
居住地域別では興味深い動きが起きている。
都市部居住者はその恩恵を受けていることから、現状維持、さらには今以上の集中化を望みそうな想像が出来るのだが、現実には「望ましくない」との意見が多数を占めている。しかも都市規模別での差異がほとんどない。もっとも差異が無いのは他の選択肢も同様で、かろうじて「現状維持が望ましい」の選択肢でわずかに大都市圏ほど回答率が高い結果が見受けられる。とはいえほとんど誤差に近く、「望ましくない」「各人が決めるべき」の回答率の高さの前には霞んでしまう。
各種機能や人口の集中化は、該当地区に居住する人の便宜性を高めるが、その他地域の便益は相対的に下落する。リスク管理の点では「一つのかごにすべての卵を盛る」形となり、好ましい状況とは言い難い。一方で日本では人口の減少状況が続いている以上、すべての地域で同様のサービス提供(公私を問わず)を成すにはリソースが不足する。
大まかな戦略としての選択肢はいくつか想定できるが、今件の調査項目「東京への一極集中を是とするか否か」もまた、その選択の一つ。少なくとも今調査に限れば、その選択肢を望む人は少数のようだ。
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