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男女で大きく異なる非正規社員率(2014年)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ファストフードではアルバイトなどの非正社員が多いが……

労働市場の問題点の一つとして挙げられる非正(規)社員率。しかし世間一般に語られる値では、男女の雇用状況の違いが配慮されていない場合が多い。厚生労働省の調査結果「平成25年若年者雇用実態調査結果の概況」を元に、男女別・世代別の正・非正社員の比率実情を確認していく。

今調査では15歳から34歳までと定義されている若年層の労働者(現在在学していない人は除く)においては、全体で8割近く、20代以降はほぼ7割が正社員の立場で働いている。

↑ 年齢階級・最終卒業学校、就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)
↑ 年齢階級・最終卒業学校、就業形態別若年労働者割合(調査時点で在学していない者のみ)(2013年)

非正規社員率が3割強という値はかなり多く見える。世間一般に伝えられることが多いのも、この値。しかしこれは男女込みで、その女性の多くは結婚をした上での兼業主婦で構成されている。

そこで世代別に加えて男女別で、正・非正規率を確認していく。未婚・既婚の比率は無いものの、女性は兼業主婦によるところが大きいため、非正規率が上がる状況が良くわかる結果が出ている。

↑ 年齢階級・性別 就業形態別若年労働者割合(2013年)(調査時点で在学していない者のみ)
↑ 年齢階級・性別 就業形態別若年労働者割合(2013年)(調査時点で在学していない者のみ)

男性は歳が若いほど非正規社員率が高く、年上ほどその値が減る。30代前半では正社員率は85.3%にも達する。20代後半で大きく正社員率が上昇するのは、大学(院)を卒業した人が正社員として就職するから。

一方女性では、15歳から19歳で非正規社員率がもっとも高く、6割を超えて61.8%となる。20代前半で大きく非正規社員率は下がるが、再びまたその値は増えていく。高卒・専門学校卒などで正規社員として入社するため20代前半では正社員率が跳ねるが、それ以降の年齢では結婚退職などで一度職を辞し、その後兼業主婦としてパートやアルバイトで働くものと考えば道理は通る。また歳を経るほど非正規社員が増えるのは、結婚をして兼業主婦として働く人が増加するのによるもの。

別項目のデータから確認すると、30代前半の就業者においては、女性はほぼ半数が非正規社員なのに対し、男性は15%足らずに留まっている。この違いは女性の兼業主婦状態にあると見て良い。

若年層全体(在学中の者除く)では正社員率は7割にも届かない。しかしその中身は多分に女性の兼業主婦化に伴い、非正規社員率が押し上げられている。年齢と共に男性は非正規社員率は下がり、女性は上がっていく実態を覚えておくべきだろう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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