公営と民間、木造と鉄筋、そして社宅…住宅種類毎の家賃相場の違いを探る
実は民間賃貸住宅の家賃は漸減傾向
住宅は所有状態で区分すると「持家」「借家(賃貸住宅)」に二分される。多くの人は「持家」獲得を目指すが、「借家」で満足する人、多種多様な理由で借家住まいを強いられる人も少なくない。その借家における賃貸料、つまり家賃の平均相場について、総務省統計局が2014年7月に発表した、最新の住宅・土地統計調査の速報集計結果から確認をしていくことにする。
1978年以降の「店舗その他との併用住宅も含めた借家全体」をはじめとする、主要借家の畳(たたみ)一畳分あたりの全国平均家賃の推移は次の通りとなる。「公営借家」(都営、市区町村が運営する賃貸住宅。いわゆる「公団」)は1990年代以降ほぼ横ばいの傾向にある。物価の上昇もほとんど起きていないので、非常に安定した家賃で提供されている借家と評価できる。もっともその分、入居条件が厳しく、誰もが気軽に借りられるとは限らない。
「給与住宅」とは「社宅や公務員住宅などのように、会社や団体、官公庁などが所有または管理して、その職員を職務の都合上または給与の一部として居住させている住宅」を意味する。要は給金の一部が家賃として肩代わりされている状態。この「給与住宅」は元々福利厚生の一環のようなもので、長らく各項目中では最安値を示していたが、2003年には「公営借家」と逆転する。その後も平均相場は上昇中。一般的な借家と比べればまだまだ割安だが、この上昇ぶりはやや気になる所ではある。居住環境そのものを改善させて、「単に住めれば良い」から「快適な住環境の提供」へとシフトし、就業のメリットを底上げしているのかもしれない。
「都市再生機構・公社の借家」は漸増を続けているが、意外にも民間の一般的な借家は「木造」「非木造(=鉄筋コンクリート)」共に横ばいから漸減の傾向にある。特に区分では最高値を維持している「非木造借家」は、前回調査から大きく値を下げて3821円/畳にまで200円以上値を落とし、「都市再生機構・公社の借家」の相場(3445円/畳)に肉薄しつつある。地域による違いも大きいが、民間の借家相場が安定化する動きの表れともいえる。
相場安定、漸減化の理由は複数考えられる。賃貸市場そのものの安定化、さらには供給側の過多、借入側の可処分所得の横ばい傾向、そして既存賃貸住宅の老朽化に伴う家賃アップの困難さなどが想起される。
同じ都市圏でも異なる相場
やや余談になるが、2013年時点での地域別1畳当たりの家賃に関して、総数レベルで集計を取ったのが次のグラフ。都市圏の方が家賃が高い。
特に関東大都市圏の家賃は高く、全国平均家賃と比べると3割から4割増しの値を示している。例えば「大学生 一人暮らしの 家賃額 6万を切る 厳しい現実」で「大学生の平均家賃は6万円足らず」という結果が出ているが、同じ6万円でも関東大都市圏なら全面積14畳、全国平均なら20畳近くの賃貸住宅が借りられる計算になる。
大都市圏にはそれなりのメリット・そこに住まう必要性がある。しかし家賃の観点で眺めてみると、その分の対価を余計に支払う必要性が生じてくる。特に関東圏の居住者は、その実情を痛いほど実体験しているはずだ。
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