独りきりは1/4…お年寄りがいる世帯の実態を探る(2014年)
高齢者人口の増加と共に、高齢者が居る世帯数も増加中。そのような状況の中で、高齢者のみの世帯、さらには高齢者が一人きりのいわゆる「高齢独り身世帯」の増加が社会問題化している。健康上のトラブル(昨今ならば熱中症)が発生しやすく、さらに発生した時のリスクが極めて高いものとなるからだ。
高齢者がいる世帯は、どのような家族構成なのか、特に社会問題視されている「お年寄りが一人のみの世帯」の比率は増加しているのか否か。その実情について、厚生労働省が2014年7月に発表した「国民生活基礎調査の概況」を元に確認したのが次のグラフ。
最新の2013年分における調査結果では、お年寄りがいる世帯全体のうち、お年寄り一人だけの「高齢独り身世帯」は25.6%。高齢者世帯の4世帯に1世帯強は「その高齢者1人だけの世帯」となる。また、子供や孫がおらず、夫婦(大抵の場合は双方とも高齢者)だけの高齢者世帯は31.3%。これらを合わせた「(人数は問わず)お年寄りだけの世帯」は56.7%となり、過半数を占める計算となる。つまり「お年寄りが居る世帯」を指した場合、その過半数は「お年寄り”だけ”が居る世帯」を、1/4は「お年寄り”独り””だけ”が居る世帯」意味することになる。
世帯比率の推移を見ると、
・増加……単独世帯、夫婦のみ世帯、親と未婚の子のみ世帯
・減少……三世代世帯
となり、減少しているように思える「高齢者と”未婚の”子供のみ世帯」も増加傾向にあるのが分かる。「高齢フリーターの推移をグラフ化してみる」などと合わせて考えると、「高齢者と、離婚して出戻り状態の子供、あるいは晩婚化などで結婚待ち、さらには結婚をするつもりの無い中堅層(30-40代、あるいは50代まで)」という家族構成が増加している感はある。さらには高齢者を介護するために、親と同居している子供によって構成される世帯事例も十分想定できる。
直近の2013年は「高齢者のみ世帯」比率が大きく増加している。中でも「単独世帯」、つまり「高齢独り身世帯」の増加割合が著しい。このペースが続くと、2020年には現在56.7%の「お年寄りだけ世帯」は6割に達する勢いを見せている。団塊世代が該当世代に含まれるようになったのが一因だが、2012年から2013年への変化の大きさには、驚かざるを得ない。
何かリスクとなるような出来事が発生した場合、「高齢独り身世帯」では手遅れになる可能性は高い。何しろ自分の状態を第三者に伝えることすらかなわないこともある。また、日常生活でも「買物困難者」問題をはじめ、社会インフラによる地域サービスと絡み、「高齢者のみ世帯」の増加は大きな問題の要因となる(求められるサービス量は増加するが、地域単位での利用者数は減るので、サービス提供側はコストパフォーマンスが悪化する)。各種対策について、行政側は早期の対策とその実行が求められよう。
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