前日の豪雪の影響は!? 2014年2月の都知事選代別投票率
前日の積雪が大きく足を引っ張った都知事選
猪瀬前都知事の辞任に伴い2014年2月9日に実施された、東京都の知事を選ぶ都知事選挙。舛添要一氏がトップ当選を果たす形で幕を閉じたが、今件選挙では前日の豪雪で投票率が下がり、世代別の投票率動向にも大きな注目が寄せられていた。この世代別投票率に関して東京都選挙管理委員会は2014年6月26日付で、年代別投票行動調査結果のデータを公開し、その実情が明らかになった(「東京都選挙管理委員会:年代別投票行動調査結果」)。そこでその公開値をもとに、積雪がどのような影響を及ぼしたかを中心に、投票動向を確認する。
2014年2月に行われた都知事選は、舛添要一氏の圧勝という形で幕を閉じている。第二位以下の候補者に対し、2倍以上の得票率を示す形となった。
今選挙は民間調査会社の調査を基にした推測で、一部候補の一部世代からの支持率が舛添氏に肉薄していたことが明らかにされるなど、話題性に富んだ選挙だった。一方、この選挙の投票日は前日に東京地方でも季節的に珍しく大雪が降り、これが特に若年層の得票率を大きく押し下げたとの観測も見受けられた。
今回選挙管理委員会から発表された世代別投票率によると、積雪に関する投票率の減退はほぼ予想通り。前回の都知事選(2012年12月実施)と比べ、全体では16.5%ポイントもの下げが確認されている。
下げ幅はどの世代でも同じように見える。しかし二つめのグラフ中オレンジで着色した世代にある通り、大きな下げ幅を示したのは若年層と中堅層。選挙当日から積雪による若年層の投票率が特に落ち込んだとの推測があったが、それは正しかったことになる。また中堅層の下げ幅が大きかったのは意外。自宅周辺の積雪処理に追われ、投票が優先順位の上で負けてしまったのかもしれない。
下げ幅では無く下げ率でみると……
これらのグラフは前回都知事選の投票率と比較した変化幅(%ポイント)だが、これを変化率に算出すると、意外な事実が見えてくる。
例えば全体なら、前回の投票率と比べて、今回の投票率は26.3%、約1/4ほど減っていることになる。この計算方法で確認すると、若年層ほど下げ率の平均値より大きく下げ、シニア層は低めに抑えられている。元々投票率は若年層ほど低く高齢層ほど高い傾向があるため、積雪によって同程度の投票率の下げ幅が生じた場合、投票率の変化率は若年層ほど高い値が出てしまう次第である。
最大の下げ幅は20代前半。前回都知事選の投票率は43.59%で、今回は25.70%だった。つまり4割以上もの投票率減退が発生している。人口数は2年でそう大きく変わるはずもないので、これはほぼそのまま「20代前半の投票数がほぼ4割減少した」と見ても良い。
若者にとってはチャンスだったかもしれない積雪後の選挙
若年層の人口数・比率減退に伴い、政治の上での影響力、意見力の低下、それを受けての政策動向・決定、そしてその状況を見て若年層がさらに意気消沈し、ますます投票率を下げる……という、選挙の上でのマイナススパイラルが懸念材料とされている。例えば先の衆議院選挙では「投票を受ける政治家の視点では、若年層3人と団塊世代1人は同じ重きという計算」という試算すら出ている(「若年の意見力は団塊の三分の一にも満たず!? 投票者ピラミッドをグラフ化してみる(第46回衆議院選挙版)」)。
今件のような天候に伴う投票率の低下はどの世代でも起きうる。実際、投票率の減退幅では、どの世代もさほど大きな差異は生じていない。逆に若年層が奮起し投票所に向かうことで、パワーバランスに変化が生じる可能性はあったのだが、現状はそう甘くは無いようだ。
若年層においては中堅層以上の投票率を確保することで、はじめて選挙の上でのマイナススパイラルを脱却し、政治不信状態からの脱却も期待できるのだが。
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