画像にはトレードマークやアカウント名の記載が望ましい
ソーシャルメディアの普及やインターネットのマルチメディア化に伴い、多種多様な画像が掲載されるようになった。文章の解説にはグラフや情景写真が多用され、絵を描く技術を有するものはイラストを描いて理解の手助けに活用する。さらに自らの絵や漫画などの作画作品を公開し、多数の人に閲覧してもらい、評論を受けたり自分の活動の喧伝に活用する人も多い。Pixivなどの投稿サイトも盛況を博している。
それと共に、それら画像の無断盗用も増え、ソーシャルメディア上で展開される画像において一次ソースが確認できない事案も増えている。以前紹介したコンテンツの盗用による集客システムの運用(「僕がツイッターの面白系botをRTしないワケ」や「続・僕がツイッターの面白系botをRTしないワケ」)が代表的な事例といえる。これら盗用事案の増加に伴い、第三者が「本人作のものと思って評価の上拡散していたら、実は盗用のもので、結果として悪業に手を貸すことになってしまった」という例も増えていることは否めない。
絵の中にはそのタッチなどから「誰の作品か」が一目で分かる場合もある。しかし多くは見た目だけでは分からない。Googleなどを用いて画像検索をすればある程度絞り込めるものの、中には転載に転載を重ねた上での作品で、どれが一次作品・マスターなのか、誰が描き手なのか分からない事例もある。いや昨今ではそういった例の方が多い。
絵の描き手ではなく、描かれた絵を観て楽しむ側からこのような意見を口にして良いのか、少々戸惑うところもあるが、そして当方自身も含め既に少なからずの方が手掛けている話ではあるが。作品としての体裁を壊さない、あるいは世界観をダメにしてしまうような場合でない限り、絵をインターネット上に掲載する際には何らかの自己主張、ツイッターのアカウントでもトレードマークでもペンネームでもサインでもかまわないので、特定できる「記号」を掲載してくれると非常にありがたい。
この「記号」があれば、盗用か否かを判断する時など、何か必要な際にその画像がマスターか否か、そしてマスターで無い場合はマスターを探しやすくなる。手違いで盗用コンテンツの手助けをしてしまう失態を防ぐことができる。さらには盗用コンテンツで荒稼ぎをする不埒な悪行三昧の手口を続ける人たちへの対抗手段の一つにもなる。当方も実際、自分が使っている「猫アイコン」のおかげで、無断転載されていたグラフを見つけてもらえた事例があるだけに(「池田信夫さんのグラフ無断転載と不破雷蔵さんの反応」)、その効用を力説することができるというもの。
絵描きの方々の作品ではすでに多数の方が実践しているようだが、まだまだ使われていない事例も多い。絵の上でのこだわりから使いたくない方もいるだろう。後者はともかく、前者の場合は、ほんのちょっとの手間で自分の絵が勝手に一人歩き、濫用される可能性が抑えられるようになる、「記号」の掲載を検討してほしいものである。
描かれた絵を楽しむ立場としては、素晴らしい作品との出会いを得たら、やはり描き手本人に感想を語り、賛美を贈り、気持ちを伝えたい。そう思うのは当方だけではあるまい。
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