チャイルドシート装着率は61.9%、締め方や固定方法の認識不足が顕著
年々向上するチャイルドシート装着率
自動車搭乗時には欠かせないシートベルト。その子供向けの機材がチャイルドシート。道路交通法では6歳未満の子供の乗車に際しては、原則としてチャイルドシートの使用が義務付けられている。
装着率について日本自動車連盟(JAF)と警察庁では毎年、使用状況や取り付け方の実態に関して大規模な調査結果を行っており、その2014年分の調査結果が先日発表された。それによると着用率は61.9%で、年々装着率は上昇する、つまり状況改善の傾向を示している(「チャイルドシートの使用率は61.9% 調査開始以来最高の使用率となるものの、子どもの年齢が高くなるにつれて使用率が低下する傾向は変わらず」)。
2013年には初めて6割を超え、直近の2014年ではそれにさらに上乗せされている。とはいえ、まだ4割近くが未装着な状況にあるのも事実。
過去4年間における子供の年齢別の使用率を見たのが次のグラフ。
概してどの年齢区分でも年々上昇している。一方、子供の年齢が上になるほど装着率が落ちる傾向に変わりは無い。子供が窮屈がること、シートの買い替えが面倒などの事由もあるが、リスクを考えればあまり好ましいとはいえない。特に5歳において装着率が4割程度でしかないのが目に留まる。
未着用なのはどのような状況だろうか
チャイルドシートを付けていない場合、子供はどのような状況だったのだろうか。
一番装着率の低い5歳児だが、大人用のシートベルトを着用している事例が2割強。子供によっては5歳児でもかなり背丈が大きくなり、大人のベルトでも問題ないと判断したのだろう。また、車両のシートに座らせてベルトをさせていない事例も1/3強ほどおり、「子供が嫌がる」「シート買い替えをしていない」の推測が正しいことが確認できる。
なお道路交通法第71条の3第2項によれば「『適切に座席ベルトを装着させるに足りる座高を有する幼児』はチャイルドシート使用の義務を免除される」(当然その場合、大人用のシートベルトの着用が義務付けられる)とあるため、今件のうち「大人用ベルト着用」は適切である可能性も多分にある。
一方、1歳未満では「保護者の抱っこ」が1割強確認されている。これもまた子供が親元から少しでも離れると泣き出す場合を考えると「仕方ない」との面もある。しかし事故時のリスクはシートベルト未着用と変わらないことから、お勧めはできない。なお法令上、原則的にはこの行為は認められないが、特例もいくつかあり、例えば授乳やおむつの交換の時は道路交通法施行令第26条の3の2第3項第5号により、チャイルドシートの使用は免除されるとある。
装着していれば良いというものでは無く
チャイルドシートの装着率は年々改善されているが、単に装着していればリスクが低減されるとは限らない。「シートそのものの固定が正しく行われているか」「シートの座り方は間違っていないか」について、別途チャイルドシート利用者に対して確認した結果が次のグラフ。
チャイルドシートの取り付け状況においては、過半数が「問題あり」判定。リリースにはその詳細があるが、「問題あり」の7割程度が「腰ベルトの締め付け不足」とある。次いで多いのは「座席ベルトの通し方」。いずれも業者に確認、調整をしてもらえば容易に改善は可能なだけに、早急な対応を願いたい。
シートでの着座状況は種類によって違いが見える。乳・幼児用では「ハーネスの高さ調整」「ハーネスの締め付け不適正」「ハーネスのよじれなど」が多く、学童用では「肩・腰ベルトの通し方間違い」「体格不適格」などが上位にある。体格不適格の場合は大人用のものを使うなりすれば良い。ベルトの通し方のミスなら正しい通し方を学んで実践し、リスクを減らせることになる。
シートベルト同様にチャイルドシートもまた、法律上装着が義務付けられているのと同時に、「万が一」の際のリスクを確実に減らす安全策に他ならない。「事故が起きるはずが無い」という確信が事実である保証などどこにもない。後悔する場面に遭遇しないよう、正しい設置と装着を心がけて欲しいものだ。
なおチャイルドシート未装備の事由の一つに挙げられるコスト問題だが、自治体や各交通安全協会など各種公共機関では無料での貸出サービスを展開している。自動車保有の機会を得る際、、あるいは子供を有して自動車に同乗させる機会が生じることが予想される際には、前もって手続きを取り手配をすることで、賢く制度を活用し、スムーズに利用したいものだ。
■関連記事: