衝突経験8%、危うく回避は4割…歩きスマホの危険性
「歩きスマホ衝突経験率8%」という実態
スマートフォンが普及するに連れ、歩行中も操作をし続け、他への注意が散漫になる行為「歩きスマホ」が問題視されるようになった。携帯電話事業者各社はもちろん、鉄道をはじめ各交通機関運用サイドでも、歩きスマホの危険性を訴え、啓蒙運動を続けている。そのような状況下で、実態として歩きスマホによるリスクの体現化はどれほどの比率で発生しているのだろうか。
ライフメディアのリサーチバンクが2014年5月に発表した調査結果によれば、スマートフォン所有者の6割強が「歩きスマホ」をしており、そのうち8%が「歩きスマホ」の最中に他人とぶつかった経験を持つと答えている。
ぶつかった際にどの程度のトラブルが生じたのか、具体的には単に衝突しただけか、あるいは何らかの物理的損失が生じたのかなどまでは尋ねていないため、詳しい状況までは分からない。しかし回答者自身はスマートフォンを操作しながら歩いている状況下で、しかも何らかの衝突予防的行動を取っていないことから、それなりのスピードで相手と接触した可能性は高い(右前ながら歩きスマホをする人など見たことが無い。身構える位なら、そもそも歩きスマホはしないからだ)。調査対象母集団全体比では2.7%程度だが、決して小さな値とはいえない。さらに「ぶつかりそうになった」も合わせればほぼ半数が「歩きスマホで他人との衝突トラブルの危険経験あり」となる。
また今件はあくまでも「他人との」衝突の有無を尋ねている。穴に落ちる、電柱にぶつかる、自転車と接触するといった、人以外との衝突などの事例は回答の対象では無い。「歩きスマホによる事故、怪我」との観点でなら、もう少し比率は高くなることだろう。
非「歩きスマホ」者、スマホ非保有者まで合わせると14%
歩きスマホによる衝突実経験、衝突危機の経験を、歩きスマホをしている当事者だけでなく、ぶつけられる可能性がある側まで含め、つまり調査対象母集団全体に尋ねた結果が次のグラフ。
被害者側の立場からでは、「歩きスマホ」実行者側から見た比率の2倍近い14.4%もの人が経験ありと回答している。実際にはもっと複雑な状況を想定する必要があるが(例えば歩きスマホをしている人同士の衝突)、大まかに考えて、「歩きスマホ」をしていて他人にぶつかっている人は、一度や二度の経験だけではないのだろうとの推測ができる。
興味深いことに、スマートフォン非保有者の方が実際にぶつけられたり、ぶつかりそうになった経験率は低い。そのような事例が発生するリスクはあらかじめ避けている、あるいは注意しているということだろうか。今調査の別項目で、歩きスマホに対する規制への賛同率は非保有者の方が高い実態が明らかにされていることから、忌避意識が強いのも一因なのかもしれない。
今調査の限りでは実態として、大よそ7人に1人は「歩きスマホ」をしている人にぶつけられた経験を持つ計算になる。衝突時の実害度合や経験回数までは把握できないが、今件値は貴重な実数値として覚えおくべき。
例えば足を踏み外す、電柱などと接触するなどの事例を合わせれば、リスク事象の発生率は「歩きスマホ」行為者側でも1割を超しているものと考えられる。「歩きたばこ」や「ゲームや読書をしながらの歩行」と比べ、熱中率が高いことから、「歩きスマホ」に対して少なくとも同等、さらにはそれ以上の規制が求められる機運が高まっているのも、仕方がないのかもしれない。
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