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高校生ってソーシャルメディアでナニやってるの?

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 本人が隣に居てもソーシャルメディアでやりとりも珍しくない。何を話してるの?

高校生のソーシャルメディア、「身近な人とのやりとり」が一番

従来型携帯電話の時以上に、急速に加速する勢いを見せる、インターネット上のコミュニケーションサービスの普及。特にソーシャルメディアの浸透がそれを後押ししている。大人の間だけでなく、携帯電話を持った子供達の間にもあっという間に行きわたり、今やそれなしには満足な他人との交流も難しくなるほど。例えば「LINEで連絡ちょうだい」ではなく「LINEちょうだい」との表現が多用化しつつあるのが、その象徴ではある(「「LINEちょうだい」LINE利用の若年層では6割が利用」)。

↑ 日常生活におけるLINEに関する言葉のやりとり(LINE利用者限定)(2013年12月発表・ジャストシステムの調査結果から)
↑ 日常生活におけるLINEに関する言葉のやりとり(LINE利用者限定)(2013年12月発表・ジャストシステムの調査結果から)

それでは子供達は、何を目的にソーシャルメディアを利用しているのだろうか。情報通信政策研究所が2014年5月に発表した「高校生のスマートフォン・アプリ利用とネット依存傾向に関する調査」の結果から、高校生におけるソーシャルメディアの利用目的を確認していく。

今調査の限りでは9割以上の高校生がソーシャルメディア(今件ではLINEも含む)を利用している。スマートフォンの普及が大きな後押しとなっているが、従来型携帯電話利用者でも過半数がソーシャルメディアを利用している。

↑ ソーシャルメディアなどの利用状況(高校生、2014年1月)
↑ ソーシャルメディアなどの利用状況(高校生、2014年1月)

その利用者たちの利用目的を聞いた結果が次のグラフ。最上位は「友達や知り合いとのコミュニケーション確保」で71.8%に達していた。

↑ ソーシャルメディア利用目的(高校生、2014年1月、複数回答、ソーシャルメディア利用者限定)
↑ ソーシャルメディア利用目的(高校生、2014年1月、複数回答、ソーシャルメディア利用者限定)

高校生は金銭的な余裕や時間上の制約などから、実行動範囲は限られている。付き合いのある人は学校や近所の人、幼馴染、塾の知り合い位がメインになる。それらの人達とより気軽に、ハードルの低い意志疎通ツールとして、ソーシャルメディアを利用する事例が最大多数となっている。電話で話すほどのものでもない、直に会いにいくまでもない、でもちょっとした意志疎通をしたい、そのような場面でソーシャルメディアは最適のツールとなる。現実に会ったことがあり、少なからぬ付き合いがあれば、ソーシャルメディアで対話をしても大丈夫との安心感も、この高回答率を支えているのだろう。

また「周りも使っている」の回答選択肢も、「意思疎通のために欠かせないツール」という観点では「友達や知り合いとのコミュニケーション確保」と意味は同じ。友達が持っていて自分が持っていないと話題に加われないとのパターンは良くある話で、コミュニケーションツールそのものがその対象なのだから、断絶感はさらに大きくなる。例えば友達グループ内において利用者から「LINE使おうぜ」と誘われる事例は、その多くが「LINE以外のツールで連絡をするのが面倒だ」を意味する、という事例は良くある話。

次いで「暇つぶし」が過半数。多くの意見が交わされるソーシャルメディア内では、読んでいるだけでも、時間をつぶすことができる。そして書込みで話に加われば、さらに面白みは増す。「情報収集」も遊びか否か、その比率の違いはあるが、意図的には「暇つぶし」に近い。

「学校・部活動などの事務的な連絡のため」も意外に多い。学校によっては緊急連絡網のルートの一つとして、ソーシャルメディアを使っているとの話も聞く。高校生ならば9割以上が使っている実態がある以上、それを利用するのはごく普通の話ではある。また直上の「LINE以外のツールで連絡をするのが面倒だ」の事例にも直結しうる。

多様な目的意識を持つ女子高生

これを男女別に仕切り直すと次のグラフとなる。

↑ ソーシャルメディア利用目的(高校生、2014年1月、複数回答、ソーシャルメディア利用者限定)(男女別)
↑ ソーシャルメディア利用目的(高校生、2014年1月、複数回答、ソーシャルメディア利用者限定)(男女別)

「その他」以外の全項目で男性を女性が上回っている。女性が色々な、多方面における目的意識を持ってソーシャルメディアを利用していることが分かる。特に友達周りの目的や、マルチメディア関係、さらには有名人の動向チェックの選択肢で、男性の回答値との差異が大きい。女子高生は口コミ用のツールとしてソーシャルメディアを活用しているようだ。

ソーシャルメディアが高校生にとってデファクトスタンダード的な状態となっているのは、携帯電話、特にスマートフォンの普及状況によるところが大きい。かつての固定電話のように、ソーシャルメディアが連絡用インフラとして使われていると見なしても良い。

電話は基本的に一対一の意志疎通となる。複数人数で同時に電話越しに話す事例はあまり無い。しかしソーシャルメディアはそれに限らない。知り合いの間においてだけではなく、自分が知らない不特定多数の人たちに、あらぬ情報が伝わるかもしれない。使い方を誤ると、取り返しのつかない状態になる。高校生をはじめとした未成年の場合は、ノリと勢いで一生を棒に振ってしまいかねない挙動に走るリスクを(大人以上に)有している。周辺の人たちは、利用方法に関する注意喚起、啓蒙を今一度しっかりと行うことが求められよう。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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