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全体では6.4%…ラジオは誰が聴いているのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ カーラジオでラジオに触れる人も多い

全体では6.4%、歳を経るほど聴取率が上がるラジオ

4マスの中ではもっとも広告市場規模が小さく、またメディア力の減退も著しい一方、震災を機に大きく見直されるようになったメディア、ラジオ。その視聴動向はいかなる状況となっているのか。ビデオリサーチが定期的にプレスリリースとして一般公開している資料を基に、首都圏における現状を探る。

今調査は1週間分の調査票を一括して郵送・回収する「日記式郵送留置調査方式」で実施されている。そのため調査方式による実態とのぶれは無視して構わないレベルといえる。今調査の結果によると、調査対象となった期間(1週間)で1度でもラジオを聴いたことがある人は61.9%。聴いた人における平均聴取時間は14.2時間/週(累積)。そして平日・休日を合わせた全体的なラジオの平均聴取率は6.4%/日。毎日必ずではなく、多くは「時々気分に合わせて」「特定番組限定」など、条件に従い聴いていることが分かる。

↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6時-24時)(男性)
↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6時-24時)(男性)
↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6時-24時)(女性)
↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・全局個人聴取率(6時-24時)(女性)

男女とも若年層(赤系統色)ほど聴取率は低く、高齢層(青系統色)ほど高い。一方、世代間格差では、男性は10歳区切りでほぼ均等に増加していくが(50代~60代はやや伸びが大きい)、女性は50代以降に急激に聴取率が上昇していく。男女間で歳を重ねるに連れて生じる、ラジオ聴取機会の増加に男女差があるのが分かる。

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これはラジオ視聴の一形態として「自動車の運転時によるカーラジオの聴取」があること、そして高齢層では定年退職を経てプライベートの時間が出来たための上昇で、自動車運転の有無にはさほど影響が無いことなどによるものと考えられる。詳しくは直下で解説するが、女性の車中聴取率は男性の数分の一でしかない。

具体的に解説すると「中堅層まで:男性はカーラジオを聞くので女性より多い」「高齢層:定年退職でプライベートの時間が取れるようになり(女性の場合は子供の成人で家事の労苦が減るなどもある)、ラジオを聴く時間が伸びる」という次第である。

自動車に乗る頻度が低い女性はラジオ聴取率も低い

週平均のラジオ聴取率につき、聴いた場所・世代区分で見たのが次のグラフ。

↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・聴取場所別個人聴取率(6時-24時、週平均)(男性)
↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・聴取場所別個人聴取率(6時-24時、週平均)(男性)
↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・聴取場所別個人聴取率(6時-24時、週平均)(女性)
↑ 2014年2月度首都圏ラジオ・聴取場所別個人聴取率(6時-24時、週平均)(女性)

男性においては、現役世代は自宅での聴取率は低め。だが60代に入ると突然高くなる。そして50代までは自宅外の方が聴取率が大きな差を付けて高いが、60代では自宅内外でほぼ同じになる。これは定年退職となり自宅で悠々自適な生活を迎えるため。そしてラジオは一方向性で聞き入るだけの「楽なメディア」なのも好まれる一因。「ながら聴取」をして有意義な時間の過ごし方をしたいという思惑もあろう。

一方自宅外でも高齢者ほど利用率が高まる傾向には変わりない。ただし「車内」以外利用が60代で減るのは、自動車以外による外出の機会が減るところによる。

女性は男性とはかなり動きが異なる。全般的な聴取率が男性と比べると低いものの、50代以降の自宅内聴取率がきわめて高くなり、男性を超える値を示す。これは自宅外勤務者が(男性と比べて女性は)あまりいないからだと考えられる。50代以降で男性以上に伸びるのは、自宅にいる条件は男性と同じものの、家事などで「ながら聴取」を望む機会が多いから。

また、女性は自宅外でのラジオ視聴が世代を超えても低いままであるのも印象的。自宅外では必然的に「ながら視聴」となるが、女性はラジオの屋外での「ながら視聴」について、行儀の上で敬遠しているのだろう。

ラジオ番組の構成を思い返すと、お昼時は女性、しかも中堅層以降を対象としたものが多い。局・番組側も視聴者性向を知った上で構成していると考えれば、道理は通るというものである。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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