昼間部でも二人に一人…大学生の奨学金受給者動向
博士課程で2/3、昼間部でも5割強
高校までと比べると桁違いのコストがかかる大学生活。一人暮らしの場合は生活費も多分に上乗せされる。実家の仕送りやアルバイトだけでは足りそうにない場合、奨学金の給与・貸与を受ける選択肢も用意されている。そこで独立行政法人日本学生支援機構が2014年2月に発表した「平成24年度学生生活調査」の内容を基に、大学生の奨学金受給状況を探る。
詳細は「大学生のふところ事情を収入面からグラフ化してみる」で解説しているが、昨今の大学生のふところ事情としては、アルバイト料や仕送り額が減る中で、奨学金の絶対額・大学生の収入に占める比率は増加している。
これは奨学金の額が上乗せされているのではなく、受給者率(対象全学生のうち、奨学金を受給している学生の割合)が増えていることによるもの。その動向を追ったのが次のグラフ。
博士課程は元々奨学金受給者率が高く6割強で安定。一方、修士課程・大学昼間部は漸増を続け、今世紀に入ってからは急カーブを描いて上昇している。特に大学昼間部は不景気時における上昇率が大きく、2回の急上昇を経て1992年度から2012年度の間に2倍強に増えている。
また直近2012年度の大学種類別動向によると、公立の受給率・申請率がもっとも高く、国立が一番少ない。希望しているが申請しなかった、申請したが受理されなかった割合はどの大学種類でも少数だが一定率は存在している。
世帯年収別では……?
奨学金を受給している大学生の世帯年収別で区分し、受給者率を見ると次の通り。この値はそれぞれの学校種類における奨学金受給者全体のうち、各年収世帯の生徒の人数割合を示している。個々の年収世帯のうち何%が奨学金を受けているかを示したものでは無い。
国立・公立では400-600万円台、私立では600-700万円台がボリュームゾーン。また高年収層でも比較的受給者が多いなど、私立は国立・公立と状況がやや異なる状況となっている。私立大学の方が学費が高くつくため、高年収世帯でも負担は大きく、奨学金に頼る割合も増加するのだろう。
また300万円以下の世帯では受給者率が大きく減る。これは元々年収が低い世帯層の学生が少ないのが要因。当然、低年収世帯層の方が申請した場合の受理率は高く、高年収ほど不受理の割合は増加している。それでもなお、このような結果となってしまう。
奨学金の大部分は給付ではなく貸付であり、就職などで定期収入を得るまでに生活が安定した上で、漸次返却する義務を負う。未来の自分への投資との観点では有益な手法であるものの、借金には違いない。学生の収入そのものや仕送り額の減少と合わせ、大学生のお財布事情の厳しさを示す一つの指針として、記憶にとどめておく動きといえよう。
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